【作品情報】
作品名:IQ
著者:ジョー イデ
ページ数:445ページ
ジャンル:ミステリー
出版社: 早川書房
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
黒人文化理解度 : ★★★★★★☆☆☆☆
こういう人におススメ! : ちょっとコミカルなハードボイルド路線好き
ロサンゼルスに住む『IQ』と呼ばれる黒人青年探偵、アイゼイア。
昔からの腐れ縁であるドッドソンから請けた依頼は、命を狙われている大物ラッパーからのもの。
ラッパーを狙う暗殺者を追いつつ、アイゼイアにのしかかる過去。そして、未来。
頭脳と機転で事件を解決するニューヒーローの誕生か!?
IQということで、どれだけ頭脳戦が繰り広げられるかと思いきや、エンタメ系の頭脳戦だ。
確かに、状況などから判断していくのはたいしたものだが、そう都合よく全部当たりの方に目が出るか?
と突っ込みたくなるところもある。
が、まあそこはエンタメい系作品だし、深く言わないでおこう。
評価したいのは雰囲気とテンポではないだろうか。
アメリカの黒人社会を描き、ギャングの抗争や銃、そういったハードボイルドな世界を描くように見せて、意外と時にはコミカルであったりもする。
特に腐れ縁ともいえる相棒(?)のドッドソンとのやり取りはなんとなく微笑ましくもある。
お互い、相手のことをうざいように思っていながらも、どこか頼りにしていたり、信頼しているような。
くっつき過ぎない関係というのが良いのかもしれない。
アイゼイアは、高い頭脳派要しているものの、銃は使わない。
一方でドッドソンは決して強いわけではないが荒事だって恐れない。
そんなバランスが良い。
物語は現在と過去が錯綜する形式で進んでいく。
過去では、今のアイゼイアを形成した事件を描き、ドッドソンとの昔からの関係を分からせていく。
単に、現在起きているラッパーの事件を追うだけではなく、その中で過去からアイゼイアを捉えて離さない事件についても絡んできて、物語全体が動いていることを感じさせてくれる。
しかし、巨大な犬をけしかけて殺そうとするってのは、なんか凄いよな。
飼い主とか簡単に特定されそうな気がするが、広大なアメリカだからこそ、なんだろうか?
一巻で完結している内容と思いきや、最後で続きを匂わせる終わり方。
上手いというべきか、ずるいというべきか。
また推理ものを期待すると、それが主ではないのでちょっと肩透かしに思うかも。
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