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SF ファンタジー 書評

【ブックレビュー】あとは野となれ大和撫子(著:宮内 悠介)

更新日:

【作品情報】
 作品名:あとは野となれ大和撫子
 著者:宮内 悠介
 ページ数:384ページ
 ジャンル:SF、ファンタジー
 出版社:KADOKAWA

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 大和撫子度 : ★★★★★☆☆☆☆☆
 こういう人におススメ! : 僕たち私達で国を作ろう!的なもの

 

■作品について

中央アジアの架空の国で現大統領が暗殺、後を継いだのは後宮に残された少女達だった!
若き少女達が周辺諸国や過激派を向こうに回して国家を運営する。
少女達による国造りの開幕!

■良かった点

あらすじだけを読んだら荒唐無稽である。
ただ、タイトルといい内容といい、これこそエンターテインメント! と心踊らされることは間違いなく、それだけでも成功していると言える。
だって、手に取りたいと思ってしまうから。

後宮の少女達といっても、大統領の夜伽をするというわけではない。
優秀な少女達を見初め、学問などを与えているのである。
だから残された少女達はそれぞれに得意な分野を持っており、各位の能力を活かして国政に挑んでゆく。

舞台は架空の国ではあるけれど、実際の中央アジアを連想させ、また政治や国の状況も同様である。
少女達を待ち受けているのは内政問題、外交問題、テロ問題、環境問題といった非常に重たいものばかり。
ともすれば重くなりそうな内容を、独特のノリと明るさで乗り越えていく。
そんな上手い話があるか! という声は置いておいて、そうやって読ませていくのは上手い。
複雑なテーマを軽く読ませるっていうのはテクニックも必要だと思うんですよね。

そして全編を通して描かれる、少女達の友情。
もちろんそれだけではないのだけれど、どろどろとした政治の世界の中で、爽やかな風を送り込んでくれるのて、読んでいて心地よいのだろう。
とりあえず、政治や外交といったことに興味を持たせるために、ラノベ感覚で学生に読ませる、なんてのは誰かが言っていたような気もするけれど良いかもしれません。

若き少女達による国家運営。
この一言にロマンを感じる人は手に取ってみよう!

■ここが改善できるともっとよかったかも?

まあ、ノリと内容的にご都合主義になってしまうのは致し方ないところか。
これで、少女達がクーデターにあって暴行されたり殺されたりしても、誰も喜ばないだろうし。
そういう作品だと割り切って読んで下さい!

あと、タイトルにある大和撫子的な感じは薄い。

 

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