【作品情報】
作品名:ワルツを踊ろう
著者:中山 七里
ページ数:334ページ
ジャンル:ミステリー
出版社:幻冬舎
おススメ度 : ★★★★☆☆☆☆☆☆
胸糞悪い度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : 救いのない物語が好きな人
外資系金融会社で働き、将来も明るいはずだった主人公の溝端了衛。
しかし、リーマンショックを受けて会社は傾き、とうとう了衛も会社にいられなくなり、失望のまま故郷に戻った。
そこは東京とは思えないような場所で、わずか7世帯9人という限界集落。
他に行き場所のない了衛はどうにか馴染もうとするが・・・・?
いやー、なんといいますか。
田舎の閉塞感というか、よそ者を排除し中に閉じこもるところが、これでもかとばかりに描かれている。
都会から離れ、自分達のルールで生きてきている人達。
そこにはプライバシーだ、都会の常識だ、モラルだというものは全く通用しない。
物語だから極端に書かれている部分はあるだろうが、それにしてもこんな場所には居たくない。
そう思わせるくらい、住人たちは変わり者であり、偏屈であり、性格もちょっと嫌な人ばかり。
そんな中で、金も仕事も行き場もない了衛は、どうにかその地になじもうと色々と考えては行動するのだが、全てが裏目に。
読んでいても、失敗しそうな感がぷんぷんするのがなんとも。
了衛も行動力はあるのだが、もうちょっとよく考えてから動こうぜ、と言いたくなる。
うまくいかず、地域のためにと動いたことも裏目に出て、村の人達からは蔑まれ疎まれ孤立していく了衛。
嫌がらせを受け、少しずつ壊れていく了衛の精神が読んでいて辛い。
そしてとうとう狂気にはしってしまう了衛は恐ろしいというか哀れである。
タイトル、「ワルツを踊ろう」の意味はこの狂気の後の展開によるものだが、こんな意味でつかわれるとは、本書を手に取った時には思いもしなかった。
人が徐々に狂い、壊れていく様を見せられるのだが、その裏にはまた異なる人の想いも交錯している。
そこは中山七里といったところだろう。
単なる事件に終わらせず、最後に物語をひっくり返す。
今作はまあ、分かりやすく、そうだろうなと思えるものではあったが、ちゃんと仕込んでいるところはさすがである。
どうも本作は山口県で発生した事件をベースにしているようだが、小説より奇なり、というのは本当のようだ。
主人公の奮闘は分かるのだが、やっぱり考えが浅いし、そりゃうまくいかんだろう。
そこまで故郷にこだわらず、都会に戻ればもっと違った人生になったろうにね。
とにかく救いようがないので、話の展開的にも途中で嫌になりかける人は多いのではないだろうか。
そして最後のグロ展開。なかなかキツかった。
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価格:1,382円 |