【作品情報】
作品名:1000ヘクトパスカルの主人公
著者:安藤 祐介
ページ数:274
ジャンル:エンタメ
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
空を見たくなる度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 忙しない日々、ちょっと一息つきたい人
大学三年生の城山義元はごく平凡な学生。
流されるように今の大学に入り、サークルに入り、バイトをして、仲間とだべる。
ただただ無意味のように過ぎ去ってゆくように思える中、ふと空を見上げてみる。
「空はなぜ、青いのか?」
そんなことから義元の日常は少しずつ変わっていって・・・・
大学生を主人公とした青春小説。
もう、一言でいってしまえばそういうこと。
物語の中で、大きな事件が起きるわけでもないし、あっという結末が待っているわけではない。
そこは、どこかノスタルジーさえ漂うような大学生の日常。
仲間がいて、部屋にみんなで集まって酒を飲んで馬鹿話をして。
バンド活動は適当に、バイトして、麻雀して、恋愛して、変わることなく続く毎日。
でも、モラトリアムは終わりも見え、就職活動というものが見えてきて。
そんな中で、ちょっとした縁で知り合った女の子、主婦、老婆。
空に興味を持ち、気象予報士の試験を受けるために勉強を始め、空の写真を撮り始めて。
ほんの些細なことが人に影響を与えていく。
義元の行動の変化がまた他の仲間にも少しだけ影響を与えて、新たな今が形成されていく。
驚きはなくとも、どこか心地よく読み進めていくことが出来る。
それは本書の学生達が醸し出す雰囲気が良いからだろう。
褒められた学生じゃないかもしれないけれど、大学生など多かれ少なかれこんなものかもしれない。
予定調和的なものはあるけれど、安心して読める。
最後にはちょっとほんわかするというか、「いいなぁ」と思える感じで締める。
うまくいくことばかりではないけれど、無駄に思えることばかりかもしれないけれど、そういう時間があっての今なんだと思えたら、良いですね。
なんというか、現代という感じを受けませんね。
昭和ちっくなんで、そこがちょっと違和感かもだけど、意外と今でもこういう学生さんはいるのですかね。