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ミステリー 書評

【ブックレビュー】謎解き広報課(著:天祢 涼)

更新日:

【作品情報】
 作品名:謎解き広報課
 著者:天祢 涼
 ページ数:303ページ
 ジャンル:ミステリー
 出版社: 幻冬舎

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 仕事に対する情熱を感じさせてくれる度 : ★★★★★★★★★☆
 こういう人におススメ! : 主人公が成長するお仕事小説が好き

 

■作品について

ど田舎にある高宝町の役場に就職した主人公の結子。
東京からわざわざやってきたけれど、やる気も郷土愛もゼロ。
そんな結子が配属されたのが、なぜか「広報課」
やる気、郷土愛ゼロの結子が地元の広報誌なんて作れるのか?

ただ適当に広報誌を作れば良いと思っていた結子だが、上司の進藤の鬼のような指導や、なぜか広報誌を作成する際に発生する妨害の謎を解きつつ、地元民のために広報誌を作り続けるのだが。

■良かった点

謎解き広報課というくらいだから当然のようにちょっとした謎があり、それを解いていくのだが。
その辺はどちらかというとおまけ成分に近い。
本作の魅力は、やる気も地元愛もない新人の結子が、広報誌を巡って高宝町のことを知り、町民と触れ合い、気持ちや行動が変化していくのを追っていく、結子の成長物語でありお仕事小説であることだ。

形式的には短編連作となっており、最初は当然ながらもっともやる気がない状態。
そこから何本か広報誌を作っていくうちに、結子も変わっていく。
流れとしても非常に分かりやすいし、広報誌は月次で刊行されるから短編で区切るのにも適している。

登場人物もなかなかにユーモラス。
結子は平凡な人間だが、努力し続けることが出来る力を持ち、それ故に成長もするし、のめり込み過ぎて痛い目にもあう。
上司の進藤は「もはやパワハラでは?」と思うようなことを平然とやる、何を考えているかよくわからない男。
進藤の幼馴染にして町長の鬼庭、結子の同僚の茜、新聞社の片倉など、周囲を彩る面々も個性的で漫画的。
だからこそ脳裏にキャラクターが思い浮かべやすい。

大きな驚きやギミックがあるわけではないが、結子が成長する姿を見ていくのは楽しい。
わざわざ高宝町にやってきたのも理由があり、1年働いたらやめるから適当にやる。
そう考えていた結子が広報誌に徐々にのめりこんでいくのだ。
でも、この気持ちは分からなくもない。
私もこういうブログやホームページを作り、それを見て反応があり喜んでくれる人、楽しんでくれる人がいると嬉しいし、やる気が上昇する。
広報誌で地元民と触れ合い、自分の作った広報誌を読んで面白かったと、やる気が出たと、そういってくれれば愛着がわかないわけがない。
次の広報誌はもっと良いものにしてやろう、そう思える。
だから素直に結子の気持ちを受け取れる。

また短編連作ということで、最後に仕掛けというかどんでん返しがあるのも良い。
単にお仕事小説、成長物語というのではなく、「そういうことがあったのね」というミステリ的要素もきっちり入れ込んでいる。
そういった点でもきっちり楽しむことが出来る一作といえる。

広報誌を作る過程で色々と揉めることもあるが、本当に悪人といえる人はいない。
気持ち良く読み終えることの出来る作品である。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

読後感も良く、ここが悪いという部分は無いのだが、パンチが強い作品ではない。
まあ、でもそういう作風の物語だからそれを改善しろという部分ではないかな。

 

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