【作品情報】
作品名:楽園殺し: 鏡のなかの少女 (1)
著者:呂暇 郁夫
ページ数:321
ジャンル:エンタメ、ファンタジー
出版社:小学館
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
世界観が良い感じ度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : ダークファンタジーとか好き
人に異能を授ける砂塵が舞う偉大都市。
荒廃した世界で、楽園とさえ呼ばれる偉大都市には、そんな砂塵を力に変え、様々な能力を発現する人々が集う。
そして、その能力を犯罪に使う者たちを取り締まる精鋭部隊<粛清官>が、この街の秩序を守っている。
粛清官ーー射撃の名手シルヴィ・バレト。そして寡黙な黒剣士シン。
とある事件を通じてコンビを組むことになった二人は、人を獣に変貌させるドラッグの捜査を任されていた。
吹き荒れる砂塵のなか、マスクをまとう能力者たちの物語が幕を開ける。
砂塵に包まれているという世界。
おそらく、近未来的な地続きを想定させる、架空の歴史の未来の話。
そこで巻き起こる、異能力者たちのバトルものということになる。
異能力者同士のバトルというのはある意味でおなじみであるが、そこに色を添えているのが、登場人物が被っている様々なマスク。
砂塵が舞う世界で、このマスクをしていないと通常活動に支障があるという設定を活かしたデザイン。
ビジュアル的にそういう特色を出すのはラノベとしても成功しているのではないだろうか。
物語は、明るくテンポの良いアクションバトル、とかではない。
むしろ主人公の少女は重いものを抱えているし、それ以外の登場人物たちも様々なものを背負って砂塵の都市を生きているように感じる。
根底に通じてると感じるのは、「復讐」か。
著者の前作、「リベンジャーズ・ハイ」は残念ながら未読なのだが、どうやら同じ世界観、地続きの物語らしい。
そちらを読んだ方がより楽しめるようです、はい。
読んでいて浮かぶのは、荒んだ世界。
そこで生を営んでいる雑多な人たち。
チャイナドレスやら和装やら、そういうものがあるのも、バンクなSF世界観を感じさせてくれて、好きな人はたまらなく好きになれるはず。
雰囲気という点ではかなり良いものを描いている。
決して明るい世界でも物語でもないが、ヒロインのシルヴィとその相棒のシンのやりとりだったり、上官とのやりとりだったり。
息を抜けるシーンはきちんと用意されている。
登場人物たちの関係性、因縁も、1巻ではまだにおわせる段階だけれど、それぞれに過去があり、思惑があり、わかりやすいキャラづくりではあるがそれだけに立っているともいえる。
異能バトルは後半で展開。
さあ、まだまだこれから、というところで次巻に続く。
ここはもうちょっと読ませてくれtもよかったのでは・・・
いずれにしても導入の巻としては良い出来で、読者を引き込む内容になっているのではないかと思えた。
あとは、続きを読んでからかな・・・!
2巻に続く前提の終わり方なのが!
私の場合は既に2巻も刊行されている状態で手に取ったので問題ないですが、この1巻だけだと終わり方が中途半端すぎる。。。