【作品情報】
作品名:箱庭の巡礼者たち
著者:恒川光太郎
ページ数:352
ジャンル:ファンタジー
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
唯一無二の世界観度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 幻想的な物語に圧倒されたい人
唯一無二の世界観度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 幻想的な物語に圧倒されたい人
ある夜、少年は優しい吸血鬼を連れ、竜が棲む王国を出た。
祖母の遺志を継ぎ、この世界と繋がる無数の別世界を冒険するために。
時空を超えて旅する彼らが出会った不思議な道具「時を跳ぶ時計」、「自我をもつ有機ロボット」、そして「不死の妙薬」。
人智を超えた異能(ギフト)がもたらすのは夢のような幸福か、それとも忘れられない痛みか。
六つの世界の物語が一つに繋がる一大幻想奇譚。
恒川さんの描く幻想的な物語がやってきました。
語られるのは、6つの物語。
一つ一つが別の世界のことでありながら、それらは繋がっていき円環をなす。
とても大きな世界の物語でありながら、一つの小さな箱庭が描き出す物語でもある。
この辺の構成というか作りの妙も、恒川さんならではという感じ。
描かれる世界も、幻想的な世界でありながら、技術の進んでいる世界でもあったりして、あっちにいったりこっちにいったり。
だけど、それらが不思議と違和感なく繋がっていく。
そして全体を見れば圧倒的に幻想的な奇譚。
6つの短編が折り重なり、1つの長編の物語へと収束する。
世界観といい、その描き方、作り方と言い、もうこの辺はさすがとしか言いようがない。
他の作者さんでは出せない、唯一無二の作品を描いていると思う。
ホラー寄り、寂しさを感じさせる作品も多い恒川さんだけど、この作品はそういうのとは少し違う。
それでいて、決して明るいというだけではない。
そういうバランスも読んでいて凄いなーと思う。
とてもお薦めできる一作。
こういうファンタジーに大きく寄ったファンタジー作品(何を言っているのだ?)が上手いのも恒川さん。
でも「夜市」とか「雷の季節の終わりに」みたいな、ちょっと寂しいような少しホラー寄りのファンタジーの方が、より魅力が高い。
ような気もする。
いや、どっちも面白いんだけど。