書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

マリア様の愛読書

マリア様がみてる 祥子

【マリみてSS(祥子×祐麒)】まだ <前編>

更新日:

 

~ まだ ~
<前編>

 

 待ち合わせに指定された場所にて、祐麒は落ち着きなく周囲を視線にさまよわせていた。何せ、相手はあの祥子である、緊張しない方がおかしい。
 小笠原家のメイドだという杏里真由なる女性から、祥子よりの言伝だとデートの誘いを受け、本当だろうかと半信半疑で迎えたデート当日。どこに行くのか聞いていなかったので、服装は無難なものを選んできた。あまりに高級な場所に連れて行かれでもしたら困るが、さすがにそういうことであれば事前に言われるだろう。
 問題は、祐麒がエスコートすることになった場合だ。一応、デートスポット情報などを頭に入れてはきたものの、祥子を一般的な場所に連れて行って大丈夫だろうかという余計な不安がつきまとう。
 祐巳なんかと普通に遊びに行くとも聞いているので、そんなに心配することはないのかもしれないが、やはり小笠原家のお嬢様、不安である。
 無難な所では、やはり映画であろう。お嬢様といえども映画くらい普通に見るであろうから。ただそうなると、何の映画を観るかが問題になるわけで、今はちょうど大作の谷間にあって、魅力的に映る作品が見当たらない。
 映画はやめて他にするべきか、どうしようか、などと一人で思い悩む。
「――あ、あの、祐麒さん」
「はい? って、さ、祥子さんっ!」
 一人で首を捻っているところ、名前を呼ばれて顔を向けてみると、待ち人である祥子がいて思わず声をあげる祐麒。
「ご、ごめんなさい、驚かせてしまいましたか」
「い、いえ、俺が不注意だっただけですので」
 祐麒は駅から続く道の方ばかり注意して見ていたのだが、どうやら祥子は車で来たようで、祐麒が思っていなかった方向から歩いてきたようであった。
 早々に間抜けな所を見せてしまい、どうにか誤魔化そうとして、言葉に詰まる。
 祥子の姿に見惚れてしまったからだ。
 ワンピースにカットソーカーディガンというのはいい。だが、そのワンピース自体がミニで、すらりと伸びた足は二ーハイソックスに包まれて絶対領域を作り出し、緑の黒髪はいつもと異なりサイドポニーになっている。
 以前、他の高校の制服姿を目にしたことがあったが、その時よりも清楚で上品さが増し、それでいて可愛らしさは損ねられておらず、凛々しく美しいイメージの祥子が、"凛々可愛い" 感じになっている。
 言葉もなく立ち尽くしジロジロ見つめてくる祐麒に、祥子は居心地の悪さを感じたのか、少しつっけんどんに口を開く。
「あの、何か私についていますか?」
「あ、すみません、祥子さんが可愛かったので見惚れちゃって」
「か、かわっ!?」
 思わずストレートに口に出してしまい慌てるも、祐麒以上に祥子の方が目を丸くしていた。そしてほんのりと顔を赤くしながら、もじもじとし始める。
「い、いやですわ祐麒さんたら、変なことを言って」
「え、俺、変なこと言いましたっ!?」
 うっかり、とんでもない失言をしてしまったのだろうか。変なことを口にした記憶はないのだが、祥子が言うからには本当なのだろう。
 そう思って問い返すと、祥子は落ち着きない様子を見せながら返答した。
「言ったじゃないですか、か、可愛い、だなんて」
「ど、どこが変なんですか? 事実じゃないですか」
「じっ……」
 目を丸くし、ワンピースの裾をきゅっと握り締めて足を隠すようにしている祥子。そんな姿を見せているだけで、充分に可愛らしいというのに。
「こ……こんな格好、私には似合わないとは、思いませんか?」
 祥子は少し俯き加減で、尋ねてきた。
 そこで祐麒はようやく納得する。どうやら先ほどから祥子に落ち着きがないのは、普段はあまり着ないような服を着てきたから、それが不安であり恥ずかしいのであろうと。確かに祐麒も、祥子のイメージとは異なると感じたが、それは祐麒が勝手に作り出したイメージである。
 小笠原家のお嬢様だからといって、シックで大人っぽい服装ばかりを好むわけではないのだ。
 祥子だって、ごく普通の高校生の女の子なのだ。
 だから祐麒は、祥子を不安にさせないよう自信を持って、笑顔で言い切った。
「すごく似合っていて、物凄く可愛いですって! だから俺、最初に見惚れちゃったって言ったじゃないですか、あれ本当ですから。うん、俺が保証します」
「なっ……ななっ……」
 あうあうと、ますます顔を赤らめる祥子。
「ああ、でも俺が保証したところで、信じてもらえないですかね、あはは」
 さすがに祐麒も少しばかり自分の発言に恥ずかしくなり、冗談交じりにそんなことを口にすると。
「そっ、そんなことありませんっ! むしろ、祐麒さんにだけ保証していただければ私はってあわわわ」
 早口でまくしたてるように言って、途中で慌てて口を手でおさえる祥子。
「え、あの、俺が何です?」
「ななななんでもありませんっ。さ、さあ、それよりも、そろそろ次のシーンに参りましょう」
「次のシーン?」
「ど、どこに行かれるのか、ということです」
「ああ、祥子さんはどこか行きたいところって、考えていました?」
「っ……ご、ごめんなさい。こちらの方からお誘いしたのに、その、私、何も考えられていませんで……」
「いやいやいや、そんなの気にしないでくださいっ! 誘われて嬉しかったのは俺の方ですし、やっぱこういう時は男の方がプランを考えるものですから」
 デートコースを考えているのか訊いてみたところ、思いのほかに祥子が落ち込んで暗い顔をして見せたので、慌ててフォローする。
 こういう時こそ、色々と考えていたことが役に立つ。
「それじゃあ行きましょうか」
「はい……あ、ちょ、ちょっと待ってください」
 歩き出そうとしたところ、祥子からストップがかかる。何かと思ってみていると、祥子は慣れない手つきで携帯電話をいじくりだした。
「祥子さん、携帯持っていたんですね」
「い、いえ、これは私のではなくて、家のなんです。その、何かあった時のためにと持たされまして」
「ああ、なるほど」
 年頃の女の子であるし、ましてやお嬢様、外出するとなると両親も心配なのだろう。しかし、まだこれからデートが始まるという時に連絡が入るとは何事か。もしかしたら、急用が出来たので帰ってこい、なんてことではないだろうか。十分にあり得ることだけに、不安になりつつ祥子の様子をうかがう。
「……は? そんなこと、できるわけないでしょうっ!?」
 受話器に向かって抗議の声をあげる祥子。びっくりして祥子の方を見ると、ちょうど祐麒の方を見た祥子と目が合う。
「とっとっ、とにかく、それは無理です」
 慌てている様子。
 やはり、家で何かあったのだろうか。
 だからといって、近くに寄って盗み聞きするわけにもいかず、祐麒としてはやきもきしながら祥子のことを見守るしかなかった。

 

 

 バイブレーションで着信を告げる携帯電話祖、慣れない手つきで操作し、耳に当てる。祐麒に聞こえないように、口元を手で隠し、小さな声で話す。
「こ、これから祐麒さんにエスコートしていただくことになったわ。行先は、まだわからないけれど」
 すると、返ってくる声。
『――分かりました。それでは第一段階、エスコートする祐麒さんの腕を取り、さりげなく胸をあててください。押し付けるのではく、あくまで祐麒さんが意識するかしないかくらいの感じで』
「……は? そんなこと、できるわけないでしょうっ!?」
 信じられない内容に、思わず声を荒げてしまう。
 はっとして祐麒の方を見ると、向こうも声を大きくした祥子に驚いたのか、祥子の方を見つめていた。
 慌てて顔を背ける。
「あ、アンリっ、ま、真面目にして頂戴」
『私は真面目です。パーティで殿方の腕を取ることだって、ありましたでしょう?』
「そ、それはそうだけれど、そんな、胸を……だなんて」
 声を潜める。
 電話の向こうは小笠原家の使用人である、アンリ。今日のデートを仕組んだ張本人。男性とのデートだなんて初めて(優はノーカウント)のため、何かあれば携帯でアドバイスを送る手はずにはなっていたのだが、まさかそんなことを言われるとは。
『はぁ……分かりました、祥子様には困難なミッションのようでしたね』
 電話の向こうから、ため息が聞こえてきた。
 使用人からの思わぬ態度に、カチンとくる祥子。
『仕方ないですね、それでは祥子様にはもっと簡単な』
「で、できるわよっ、それくらい!」
『――祥子様、あまり無理なさらずとも』
「無理なんかじゃないわ、それくらい、どうってことないわ。腕を組むくらい」
『わかりましたら、それでは頑張ってください。祐麒さんのエスコートには喜んで従ってください、初めてのデートで祐麒さんも色々と考えてきているでしょうし、変な場所を選ぶ方とも思えませんから』
「分かっているわ……そ、それより、このスカート、どうにかならないのかしら。気になって、歩くのも気を遣うわ」
 慣れないミニ丈のスカートに祥子は文句を言う。
 リリアンの制服は膝下だし、パーティなどでも基本はロングスカートで、このような太ももを露出するミニスカートを穿くことなど記憶にない。それだけに、いつ下着が見えてしまうのではないかと、気が気ではないのだ。
『大丈夫です、ミニスカートは階段と座るときさえ注意すれば、あとは度胸です』
「……それが問題なんじゃない」
『ですが祥子様』
「な、何よ」
 急に声のトーンを落としたアンリに引き込まれるように、ごくりと唾をのむ祥子。
『……祐麒さまと二人きりの時であれば、少し大胆に動き、ちらりと見せるくらいのサービスはしてもよろしいかと』
「なっ――」
『本日の下着も、清楚且つキュートさを持った一品、祐麒さまの好みにもバッチリあうかと思われるものをチョイスしております』
「ばばばばば馬鹿なことを言わないでっ!!」
 携帯電話に叫ぶように言うと、祥子は通話を切断した。
 ハァハァと、荒い息で携帯電話の液晶画面を睨みつける。ほんの数分のやり取りなのに、物凄く疲労した。
「祥子さん、大丈夫ですか? お家の方で何かあったなら、今日は無理には」
「い、いえっ、何でもありません、大丈夫ですっ!」
 後ろから心配そうに祐麒に声をかけられ、首を左右に振る。
 こんなくだらないことで、せっかくのデートを台無しになんてできない。
「…………あれ?」
 そう考えて、ふと、気が付く。
 なし崩し的に作られたデートだったが、こうして祐麒と会った今、デートを楽しみにしていることに。デートを辞めたくないと思っていることに。
「そ……それって……」
 思わず、考え込む。
「あの、本当に大丈夫ですか? 無理していませんか?」
「あっ、すみませんっ、本当に大丈夫です。さ、行きましょうか」
「はぁ……祥子さんがそういわれるなら、まあ。ええと、それじゃあこっちです」
「はい」
 ようやく、待ち合わせ場所から動き出す。
 もちろん祥子は、祐麒と腕を組むことなど出来るわけもないのであった。

 

 

 デートの行先として選んだのは、水族館であった。
 無難に映画というのも考えたが、二時間を無言で過ごすというのも勿体ないと思ったし、面白そうな映画も上映していなかった。
 あとは動物園か水族館、という選択肢の中、動物園だと動物の臭いとかに過敏だと嫌がるかもしれないと思い、水族館にした。
「綺麗……」
 水槽の前で、きらびやかな魚を目にして呟く祥子。
 魚に関して祐麒は詳しくもなんともなかったが、詳しくなければ、それはそれで楽しめる。説明の書かれているパネルを二人で読んで、新たな発見をして感想を言いあう。それだけで、充分に会話になる。
「水族館なんて、久しぶりです。でも、楽しいですね」
「良かった、祥子さんが喜んでくれるか、不安だったんですよ」
「それなら、成功だと思います」
 祥子の笑顔は、嘘を言っているようには見えなかった。例え気に入らない場所だとしても、祥子なら気を利かせて楽しいと言ってくれそうだったから。
「あら、私こう見えて、思ったことはズバッと言いますから」
「じゃあ、行きたくない場所とかだったりしたら、言ってくださいね」
 会話も随分と自然体で出来るようになっていた。
 可愛らしい魚たちが、緩衝剤になってくれているのかもしれない。
 もちろん、可愛らしい魚ばかりではない。中には奇妙な形をしている生物であったり、ちょっとグロテスクにも見えるのもいたり、様々ではある。だが、祥子はそれらの生物を見ても、嫌な顔はしなかった。
「だって、生きるため、その場所に適応するための姿かたちなのでしょう? それは、とても凄いことだと思います」
 祥子は穏やかな顔で水槽内の生き物たちを見つめ、言う。その横顔がまた神々しささえ漂わせていて、つい、じっと見つめてしまいたくなるのだが。
「この水槽内にいるのは……蟹だわ」
 水槽に顔を寄せて中を見る祥子。
 綺麗なのだが、それ以上に気になることがある。祐麒はさりげなく移動し、祥子の後ろに立った。
 何が気になるかといえば、水槽の中を観ようと前かがみになるたびにひらひらと揺れるスカートの裾である。
 絶妙な短さで、中身が見えそうで見えない。
 これが祐麒だけなら良いのだが(いや良くないが)、周囲には他にも人は沢山いる。休日の水族館ということで、家族連れ意外に当然のようにカップルもいて、男がいるわけで。そんな野郎どもが、祥子のような美少女の太ももチラチラに目がいかないわけがない。
 祐麒が言うのもなんだが、祥子はおそらく水族館内にいる女性の中で、ナンバーワンの美少女だと思う。身内の贔屓目とかではなく、事実として。
 彼女連れで来ている男だって、そりゃあ思わず見てしまうというものだ。それが、祥子の美貌に目を奪われるだけなら仕方がない、防ぎようもないことだから。
 他の男に祥子の太ももや、ましてや下着が目に入ってしまう事態はどうにか防御したく、結果として不自然な位置に立って周囲からガードするという戦法に出ている。しかし、複数の視線が複数の方向から向けられてくるため、ガードするにも限界がある。どうするか悩んだ末、祐麒は思い切った手段に出ることにした。
「ねえ祐麒さん、この――」
 上半身を捩って後ろを向き、何かを祐麒に言いかけた祥子の動きが止まる。
「ゆゆ、祐麒さん、ななな何かっ」
 そして、狼狽を見せる。
 祐麒も、いきなり自分の方を向いてくると予想していなかったので、至近距離に迫る祥子の顔に固まっていた。
 何をしたかというと、祥子の真後ろにつくようにしたのだ。距離を取ると、どうしても全方向からの視線には対応しきれないが、これほど近づいてしまえばそう簡単には周りからは見えない。
 しかしながら当然、祥子に密着して背後から抱き着くような格好となる。本当に抱き着くわけにもいかないので、水槽に手をついているのだが、そうすると左右の腕で祥子を挟む形となり、祥子は逃げることも出来なくなっている。
 顔を赤くして怯えのような表情を浮かべている祥子を見て、何か誤解をされていると感じた。もしかしたら、いきなり襲いかかってきたように思われたのかもしれない。
「あの、違うんです祥子さん。俺はですね、ただ」
「は、はい」
「ただ……その、祥子さんにもう少し、自覚を持っていただきたくて」
「自覚、ですか?」
「ええと、だから、その……あ、と、俺ちょっとトイレに!」
「祐麒さん?」
 戸惑う祥子の声を背に受け、祐麒は逃げるように足早にその場を離れた。何をして、何を言っているんだと自分自身を内心で情けなく思いながら。男嫌いの祥子にいきなり抱き着くほど近づいて、怯えさせて、何がしたいのだと。
 祥子を一人にする不安はあったが、まずは自分の頭を冷やさねばならないと、祐麒はトイレへと逃げ込んだ。

 

 

 一方、残された祥子は困惑していた。
 祐麒は何をしようとしたのか。何を言いたかったのか。あんなに間近に迫られて、抱きしめられそうになって、祥子の心臓の動きは速くなっている。
 困った祥子は、トイレへと続く人気のない通路に入り、携帯電話を取り出した。祐麒の意図が分からず、助けを求めたのだ。
『……どうかされましたか、祥子さま?』
「ああアンリ、聞いてちょうだい。実は先ほど……」
 抱きしめられそうになったことは伏せておいて、とりあえず祐麒に言われた言葉を伝える。これは一体、どういうことなのかと。
『――なるほど、そのようなことを言われていたわけですね』
「どういう意味なのか、分かるかしら?」
『はい、おそらく』
「本当? どういうこと?」
 あっさりと肯定するアンリの声に驚きつつ、答えを求める。
『祥子さまはミニスカートであることを気にせず、まるで他の殿方を誘惑するような色気を振りまいていました。おそらく、それが祐麒さまには気に入らなかったのでしょう。ですから、"そんな風に他の男に見られそうな真似はするな、お前は俺の女なんだからな、その自覚を持て"と』
「――――は? え、な、何を言っているのアンリ」
『それでは、健闘を祈ります。くれぐれも、『自覚』を持たれてください』
 そう言って、アンリは通話を切った。
 使用人としてみると非常に勝手な振る舞いだが、祥子はそんなことに気付く余裕もなく、ただ唖然として、携帯電話の液晶画面を見つめていた。
 "俺の女"とは、即ち彼女とか恋人とかいうことを指し示すのだろうか。だがしかし、自分たちはまだそんな関係ではない。確かに、依然祐麒から『好き』だと言われたかもしれないが、正式に答えたわけではない。それとも、無言を肯定と受け止められたのだろうか。それは困る。いや、別に嫌だというわけではないが、返事をしたわけでもないのに先走って思われるなんて、控え目に見えるが実は祐麒も随分と昔気質なのか。
 祥子は一人、混乱するのであった。

 

 

 頭を冷やしてトイレから出てくると、祥子が背中を向けて立っていた。
「すみません、お待たせしました」
「ひゃいっ!?」
「……"ひゃい"?」
 声をかけると、祥子の体がビクンと跳ねた。そんなに驚かせてしまっただろうか。祥子は手にしていた携帯電話をわたわたとしまうと、祐麒の方に体を向ける。
 祐麒を見る表情に、怒りとも戸惑いとも恥じらいとも見えるような、幾つもの感情が入りまじった複雑なものを感じる。
「あ、あのっ。祐麒さん」
「はい」
 祥子は両手の指を絡ませ、もじもじと動かしながら祐麒を見つめるが、目が合うとすぐに横に顔をそらされてしまった。
 そして。
「……わ、私、『まだ』祐麒さんと正式に、そ、そのようなことになったとお返事したつもりはありませんから」
 なんだか少し怒ったような口調で言い放つ祥子。
「――は?」
 しかし祐麒は発言の内容の意味が分からず、首を傾げる。
「あ、でででもっ、別に嫌とかそういうわけではなく、まだ私自身の心の整理がつかないと言いますか、そ、そもそもっ、祐麒さんから正式に申し込まれたわけではありませんものっ!」
 祐麒が訝しげな表情をして見せると、今度は途端に焦ったようになり、そうかと思うと途中からは拗ねたようになる。
「え、えーと、祥子さん?」
「さ、先に行きましょう」
 逃げるようにぷいと体ごと向きを変えると、祥子は長い脚で歩き出す。
「祥子さん、そっちは『関係者以外立ち入り禁止』ですよ?」
「わ、分かっています!」
 顔を赤くした祥子が180度ターンし、足早に祐麒とすれ違う。
 良く分からなかったが、それでも祥子がやたらと可愛く思えて。
 ふりふりと揺れるサイドポニーとスカートの裾を、慌てて追いかける祐麒なのであった。

 

後編へつづく

 

応援クリックいただけると幸いです。
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

スポンサーリンク

アドセンス1

スポンサーリンク

アドセンス1

スポンサーリンク

-マリア様がみてる, 祥子
-, , ,

Copyright© マリア様の愛読書 , 2021 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.