【作品情報】
作品名:葬式組曲
著者:天祢 涼
ページ数:274ページ
ジャンル:ミステリー
出版社: 原書房
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
意外な展開度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 意表をついてくれる展開が好き
葬式が規制されている国。今では「お葬式」は殆ど行われず、死んだらすぐ火葬場にいく「直葬」となっている。
そんな中、唯一「お葬式」が根付いたまま残っている地域がある。
そこで葬儀屋を営んでいる北条葬儀社。
遺族の様々な要求に対してどう応えるべきなのか。
故人が残していった「謎」とは何なのか。
遺族や個人の想いに触れ、葬儀社の面々は葬儀を執り行っていく・・・
本作は短編連作となっていて、一つの話でそれぞれ、
「父の葬式」
「祖母の葬式」
「息子の葬式」
「妻の葬式」
といったように、亡くなった人とその遺族の関係が異なった物語となっている。
当然、その中では親子の確執的なものがあったり、親しい人を亡くしたことによって残された人の精神が不安定になったり、関係がぎくしゃくしていたり、なんてこともある。
そういった残された人や、故人が残した謎を葬儀社の人が見つけていく。
そうして、どんな葬儀が個人や遺族のためになるのか、客に寄り添った葬儀とはなんなのか。
そういったことを読みながら感じさせてくれる。
こういうミステリーもあるんだなと、読んで思った。
・・・・というのが最終章を読むまで。
ここまででも面白いと思って読んでいたが、最後の「葬儀屋の葬式」で一変する。
今までの流れをひっくり返すというか、今までの話を予想外の展開で繋げるというか。
短編連作の醍醐味の一つにもある、「話を全部つなげると全く違うストーリーが一つ浮かび上がる」というやつである。
これによって作品全体の謎が解き明かされるのだが、え、そうきたか、と思わされた。
それまでの展開、話の内容とガラリと変わるから。
まあ、それでこそ読者に衝撃を与えられるわけだけど。
私もそれで「えっ」と思わされたし、個人的にこの手の趣向は嫌いじゃない。
むしろ、うん、よくやってくれたと言いたい。
最後の章が逆に不要だ、そう感じる人もいるでしょうね。
それまでの流れを気に入っていた人の中には不快に感じる人もいるかも。
でも私は好きですが(苦笑)
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