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SF ミステリー 書評

【ブックレビュー】君と時計と塔の雨 第二幕(著:綾崎 隼)

更新日:

【作品情報】
 作品名:君と時計と塔の雨 第二幕
 著者:綾崎 隼
 ページ数:256ページ
 ジャンル:SF・ミステリー
 出版社: 講談社

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 物語の加速度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 続きが読みたくてたまらない作品にあいたい

 

■作品について

芹愛を救えず、再び過去に戻った綜士。
その世界では、タイムリープのルール通りに母親がいない世界となっていた。
千歳、雛美と再び出会い、惨劇の連鎖から抜け出すために、またも奔走してゆく。
しかし、彼らが辿り着き得られた結論とは、いかんともしがたい悲しいものであった。

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■良かった点

一巻が導入であるからして、ここからがいよいよ本格的な物語となっていく。
二度目のタイムリープにより、母親が消えてしまった世界。
存在していた時はうっとうしいと思っていたが、いなくなって初めて気が付くその大切さ。
苦い思いを噛みしめながら、前の世界で仲間であった千歳、雛美をまた頼り、タイムリープから抜け出すために知恵を絞り出す。

果たしてこの巻はどうもっていくのかと思っていると、雛美の行動の不可解さが分かってくる。
一巻での行動が分からない。雛美自身に尋ねてみても分からない。
タイムリープするなら同じ行動をするはずでは、と思う所だが、雛美もまたタイムリープしているからこそ起こる齟齬。
そして話が展開していく中でも、ちょこちょこと気になる描写が出てくる。
一巻では書かれていなかったことだ。
それがどのように先の巻につながっていくのか気になる所。

そしてこの二巻の読みどころはなんといってもラストだろう。
もちろん、それまでも色々とあるのだが、あくまでタイムリープの謎を追いかけていく展開であり、謎が少しずつ解けていき読ませはするがそこまで大きな衝撃は無い。
それが最後にきて、一気にひっくり返される。
そうきたか。
そしてこれ、どうするの、どうやってタイムリープから抜け出すの、本気でそう思わせられる。
二幕で一気に加速し、読む手を止められなくする。
見事に成功しているといえるだろう。

これであと二巻、となると三巻はさらに加速させるのか、あるいは「転」が待っているのか。
ここは一気に続きを読みに行くべき。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

なんというか、このタイムリープ条件というか、状況は悲惨すぎる。
だからこそ、読ませるんですけどね。

 

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