【作品情報】
作品名:いつの空にも星が出ていた
著者:佐藤多佳子
ページ数:418
ジャンル:エンタメ
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
ベイスターズ愛の溢れている度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : ホエールズからベイスターズファン。そして野球ファン
大洋ホエールズから横浜DeNAベイスターズまで。
野球を、チームを、見守る人たちがいた。
それぞれが、それぞれの思いを抱えて、チームや選手を応援していた。
共通しているのは、そのチームが好きだということ。
なぜとか、なんのためにとか、そんなものはない。気が付けば好きになっていて、だから追いかけて見続ける。
そんな人たちを描いた四つの物語。
表紙を見れば、分かる人には分かります。
Y字型のライトに照らされて浮かび上がる人工芝の横浜スタジアム。
おそらく12球団の中でも最高のロケーションで、ファンも大好きな横浜スタジアム。
本作では、現在、横浜スタジアムを本拠地とする横浜DeNAベイスターズが好きで応援する人達を描いた4編の中・短編によって構成されている。
四つの物語は古い時代から徐々に最近になっていく。
- 弱かった大洋ホエールズの時代。
- マシンガン打線を引っ提げて38年ぶりの優勝をした98年。
- 優勝してからすぐに陥った暗黒時代。
- そして、DeNAになって再び強くなっていこうとしている今。
そこにいるのは、どこにでもいるような人達。
- 物静かな高校の先生。
- 予備校に通う女子高生。
- 家業の電気店を継いだ若者。
- 少年野球のピッチャーと、その父親である洋食店のシェフ
彼らにはそれぞれにチームを好きになった物語があり、それぞれのスタンスでチームを応援している。
そして彼らの目を通して、
「ああ、確かにそうだった」とか
「このシーン、自分も観ていた!」とか
過去を思い出して追体験をしていく。
野球に関しては事実であり、ホエールズの、ベイスターズのファンであるならば圧倒的なリアリティをもって作品に没頭していけるはず。
どの時代にも思いいれがあるからどれが一番良いとは言えない。
遠藤の格好良さはまさにその通り、マウンドに立つ姿が本当に格好良くて、これでファンになった人も多いし、私も大好きだった。
98年のあの熱狂、巻き込まれ、いつしか狂騒の中にいた夢のような時間は今も忘れられないし、暗黒時代だって目をそらそうとしても反らせずに試合を追いかけてしまう。
どうせ負けるだろうと思いながらも、もしかしたらと思い、でもやっぱり希望を打ち砕かれたり。
ファンなら、「分かるわぁ」と頷けるところ。
本当に、「なんでこんな弱いチームを応援しているの?」とか聞かれたりしましたが、そんなん聞くな! 好きだから応援しているんだよ! と。
仕方ないじゃん、好きになっちゃったんだから。
38年に1回しか優勝しない球団だろうがなんだろうが、もう自分の人生の中に入り込んで位置を確立しちゃっているんです。
改めてそう思わせてくれる。
ホエールズファン、ベイスターズファンなら必読!
そして野球が好きな人が読んでも楽しめると思います。
しかし、ああ、本当に生きているうちにもう一度、横浜が優勝するところを見たい!
三浦監督を胴上げしたい!
駆け抜けていく感じで、「ここをもっと深く描いて欲しかった」と思う部分もあるけれど、それをやり出したら何ページあっても足りないでしょうから、仕方ない(笑)
どこを選んで描いて作品にするか。
そういう意味ではきっちり、選ぶべき時代を選んでいます。