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【ブックレビュー】天上の葦 下(著:太田愛)

更新日:

【作品情報】
 作品名:天上の葦 下
 著者:太田愛
 ページ数:384
 ジャンル:ミステリー
 出版社:KADOKAWA

 おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
 一気読み必至度 : ★★★★★★★★★★
 こういう人におススメ! : 時間も忘れて没頭できる物語を求めている人

 

■作品について

渋谷のスクランブル交差点の真ん中で何もない空を指さして絶命した老人、正光。
失踪した警察官、山波。
二つの事件を追いかけていた鑓水、修司、相馬の三人は、やがて一つにつながった大きな悪意を裏に見つけ出す。
三人が謎を追い、辿り着いたのは瀬戸内海の離島。それは山頂に高射砲台跡の残る因習の島。
その島では、正光が命を落とした時から運命の歯車が回り出し、物語は大きく動き始めていた。

島の営みに隠された謎が解かれた時、そこにあったのは痛ましいまでの真実だった。

【ブックレビュー】天上の葦 上(著:太田愛)

【作品情報】  作品名:天上の葦 上  著者:太田愛  ページ数:440  ジャンル:ミステリー  出版社:KADOKAWA  おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆  物語にどっぷりはまる度 : ★★ ...

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■良かった点

これはもう凄まじかった!

上巻で瀬戸内海の離島、曳舟島に来て島の中で情報収集をしている間は少しテンポが落ちたようにも感じた。
だけど、情報収集が終わって本格的に事が動き出してからはもうページを捲る手が止められない。
それこそノンストップ一気読み必至。
上巻も十分に面白かったけれど、下巻を読むときは後ろの時間を確保してから最後まで読み切るようにしましょう。
というか、そうしないと気が済まないです。

物語の裏にあったのは、戦前、戦中にあった言論弾圧。
新聞やメディアの魂が死んだあの時。
そして、それらがもたらしたこと。

かつて戦争を、そして言論弾圧を経験した島の老人たちがその結果見たものの痛ましさ。
戦争を実体験として知らない世代でも、読めばその恐ろしさが分かる。
戦争そのものではない。
政治が、国が、恣意的に情報を操作して国民をある意味洗脳すること。
メディアを思う通りに動かすことがもたらす結果の恐ろしさ。
おそらくそれは、今の時代でも十分に起こり得ることであり、実際に起きているのかもしれない。
そういった意味では、むしろ今の社会をよく表しているかもしれない。

もちろんテーマだけではない。
追いかけてくる公安。
それに対抗する鑓水、相馬、修司の三人。
そして、痛快な島の老人たち。
公安のいけ好かない連中を、老人たちが島の老人であることを活かしたやり方で対抗するのは読んでいても心地よい。

果たしてどうなるのか、鑓水たちの反撃は成功するのか。
うまくいくのだろうと思っていはいても、ハラハラドキドキさせられる。
圧倒的な力に対し、ゲリラのように対抗することができるのは、ネット、SNSが圧倒的に普及しているからだろう。

そして最後に示される、正光が指さした空の先にあったもの。

ああもう、読んでいて手に汗握り、涙が出そうになる作品のなんと貴重なことか。
そんな作品に出会えたことが実に嬉しい。

エンタメ作品としても文句なしに面白い一冊だった。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

いや、ないですよ。
滅茶苦茶面白かったので、沢山の人に読んで貰いたいと思いました!

 

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