【作品情報】
作品名:天界の眼: 切れ者キューゲルの冒険
著者:ジャック・ヴァンス
ページ数:328ページ
ジャンル:ファンタジー
出版社: 国書刊行会
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
意外と残酷度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : スチャラカ残酷ファンタジー
快男児キューゲルが行きつく先で様々なトラブルを巻き起こす。
数十億年先のはるかな未来の暮れゆく地球、科学が衰退し、魔法が復活した世界を舞台に、切れ者(自称)キューゲルの痛快冒険ファンタジー。
稀代の無責任男・キューゲルが通った後にはぺんぺん草も生えない?
果たしてこの男の冒険の辿り着く先は!?
いやー、酷い男だ(笑)!
切れ者とか言っているけれど、これはあくまで自称です。
実際はセコいというか、なんというか。
そもそも冒険に出る理由からして、大魔法使いの家にコソ泥に入ったが捕まって呪いをかけられてしまった。
魔法使いに逆らうことが出来なくなり、魔法使いの命を聞いて旅に出るということなのだから。
そんな、嫌々出発した旅先で色々なトラブルを巻き起こすというか、旅先の地で変なことに巻き込まれるというか。
そういうトラブルを自称・切れ者のキューゲルが色々と機転を利かせて(?)切り抜けていくのだが、これがまた酷い。
とにかく自分さえトラブルから逃れられれば良いという考えの元の行動なので、キューゲルは助かっても多くの人が巻き込まれ、酷い結末を迎えるのだ。
冒険譚と言いつつ、爽快感とは無縁というか。
無責任で身勝手で、そして加えて姑息な主人公・キューゲル。
冒険といえば女性も絡んでくるのだが、女性陣もまあ酷い目に遭います。旅先でのラブロマンスとかとんでもない。
そんな酷い男の冒険譚だけど、そこまで憎めないのもキューゲルの人柄か?
世にあるファンタジー冒険モノを思い描いていたら大きく異なることに驚くはず。
でも、実際の冒険なんて意外とこんなもんじゃない? と思ったりもする。
誰だって自分のことが大事だし、見知らぬ土地の風習なんぞ知らないし、旅先の良くわからん種族がどうなろうと関係ないと。
そう考えると、ある意味で風刺のきいた作品ともいえる。
まさにスチャラカ冒険譚。
ちょっと異なるファンタジーを読みたい方は、是非。
この作品はこの主人公だから良いのでしょう。
正義を愛するような人は、この作品には向いていないかも。
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