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SF 書評

【ブックレビュー】プロジェクト・ヘイル・メアリー 下(著:アンディ・ウィアー)

更新日:

【作品情報】
 作品名:プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
 著者:アンディ・ウィアー
 ページ数:320
 ジャンル:SF
 出版社:早川書房

 おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
 読後感満足度 : ★★★★★★★★★★
 こういう人におススメ! : とにかく面白い作品を読みたい人

■作品について

未知の地球外生命体アストロファージ――これこそが太陽エネルギーを食べて減少させ、地球の全生命を絶滅の危機に追いやっていたものの正体だった。
人類の英知を結集した「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の目的は、ほかの恒星が光量を減少させるなか、唯一アストロファージに感染していないタウ・セチに赴き、その理由を探し出すことだ。
そして、〈ヘイル・メアリー〉号の乗組員のなか、唯一タウ・セチ星系にたどり着いたグレースは、たったひとりでこの不可能ミッションに挑むことになるかと思えた……。

■良かった点

さあ、下巻です!
驚異のファースト・コンタクトを果たしたグレースとロッキー。
異種族間での、科学者と技術者のタッグで、前人未到の困難に挑んでいく物語。
上巻でもグレースの前に様々な難題が立ちふさがってきましたけれど、下巻になるとさらに難易度を増します。
それこそ、直接的に生命の危険度が大幅に上昇するような難易度のものが。
まあ、ミッション失敗したら生命どころか地球人類が全滅するんですけれど。

未知の生命体、アストロファージにタウメーバ。
当然、その性質も、突然変異も全てが未知の状態ですから何が起こるか分からない。
都度都度、発生した事象から仮説を立てて検証し、そこから対処方法を考えていく。
どんなことが発生しようとも諦めず前向きに進んでいく姿が良いですね。
でもそれも、ロッキーという相棒がいたからこそでしょう。
『火星の人』とは違い、グレースは自分一人でどうにかしないと助けに来てくれる人の可能性はゼロ。
でも、一人きりだったらどこかで心折れていたとしてもおかしくない。
それは精神的なものでも、技術的なものでも。

読んでいるうちに、ロッキーがどんどん愛らしくなっていきますね。
見た目はグロいはずなんですけれど。
そうして困難を乗り越え、とうとう解決策が見え、お互いの故郷を助けようとする二人(?)ですが。。。
最後の最後に、襲い掛かる最大の試練。
そして、それを越えた先にあるラスト。

おいおい、このSFで泣かされるとは思わなかった。
ファースト・コンタクトものであり、センスオブワンダーであり、そして何よりバディものであるということを理解させられた。
困難な状況下で結ばれたグレースとロッキーの友情。
同種族間同士のものよりも強く結ばれたものだったろうと想像に難くない。

別れて、互いの故郷を助けて、二度と会うこともないけどハッピーエンド。
そんな物語ではなかった。
そっちにきたか!
というエンディングもまた、とても良かった。

読み進むほどに盛り上がりを見せる、素晴らしいエンタメでもある。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

終わっちゃったのが寂しいよ!

 

 

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