【作品情報】
作品名:三体0【ゼロ】 球状閃電
著者:劉 慈欣、大森望
ページ数:440
ジャンル:SF
出版社:早川書房
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
スケールの大きさ度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 三体を楽しめた人
激しい雷が鳴り響く、14歳の誕生日。
その夜、ぼくは別人に生まれ変わった――両親と食卓を囲んでいた少年・陳(チェン)の前に、それは突然現れた。
壁を通り抜けてきた球状の雷(ボール・ライトニング)が、陳の父と母を一瞬で灰に変えてしまったのだ。
自分の人生を一変させたこの奇怪な自然現象に魅せられた陳は、憑かれたように球電の研究を始める。
その過程で知り合った運命の人が林雲(リン・ユン)。
軍高官を父に持つ彼女は、新概念兵器開発センターで雷兵器の開発に邁進する技術者にして若き少佐だった。
やがて研究に行き詰まった二人は、世界的に有名な理論物理学者・丁儀(ディン・イー)に助力を求め、球電の真実を解き明かす……。
「三体」の前日譚にあたる話。
登場人物としては「三体」にも登場した丁儀も出てきます(主役ではない)
物語は、主人公の陳の家族が、謎の球状の雷によって一瞬にして灰に変えられてしまったことから始まる。
その奇怪な現象に魅せられ、陳は球電の研究に没頭していく。
その研究の中で次第に分かっていく球電というものと、研究の中で出会った軍人の林雲、そして学者の丁儀。
彼らの助力を得て球電の謎を解き明かした先に、陳を待っていたものとは。
「三体」の前日譚ではありますが、「三体」とはほぼほぼ関連性はないので、読んだことがなくても特に問題はありません。
丁儀が出てきたときに、おっ、と思うくらいか?
実際にはもっと細かなつながりはあるのでしょうけれど、まあ、その辺は置いておいて。
しかしまあ、例えば今回の球電のようなものを研究や軍事活用しようとなると、まともな精神の人だとそうそううまくいかないのですかね(笑) 林雲のようにぶっこんでいかないと物事は進まないのでしょう。
常識とモラルに縛られていては、出来ないでしょうからね・・・
林雲もそうですが、途中でちょっとだけ出てきたテロリストの女教師とか、ね。
SFではあるんだけど、エンタメ性を保ち、ある意味でファンタジーにも感じるのは「三体」と同じ。
「三体」を楽しめた人ならいける。
逆の人は、やっぱり辛いかな(まあ、そういう人は手に取らないか)
「三体」と比べてしまうと、どうしてもカタルシスというか、「あっ!」と感じる部分が少なくなるのは致し方ないか。
なんとなく、スーッ、と最後までいってしまった。
「三体」は終盤の怒涛の展開が凄かったからなぁ。
宇宙ではなく地球上で収まってしまうから、スケールが小さく感じるのか?