【作品情報】
作品名:月まで三キロ
著者:伊与原 新
ページ数:255
ジャンル:エンタメ
出版社:新潮社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
科学的ロマン度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 読みやすく、読んでしっとりできる作品を求めている人
科学的ロマン度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 読みやすく、読んでしっとりできる作品を求めている人
この先に「月に一番近い場所」があるんです――。
樹海を目指した男が、そこで見たものは?
「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。
死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。
「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。
妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。
科学のきらめきが人の想いを結びつける短篇集。
伊与原さんの短編集は初めてです。
伊与原さんらしく、どの作品も理系というか、科学的要素をちりばめた作品になっている。
とはいえ、専門的な知識がないと楽しめない作品というわけではない。
あくまで科学は物語のエッセンスに過ぎない。
だから、科学とか理系とか、そういったことにアレルギー反応がある人でも問題なく読めるはず。
言葉自体も非常に平易なもので読みやすいのがこの作者さんの特徴でもあるし。
短篇はどれも、どこか切なさというか、静かさというか、そういうものを感じさせる。
派手な物語ではない。
不可思議な物語でもない。
登場人物たちは、どこかうまくいかないものを抱えている。
それが、とある出会いを通して少しでも前向きになれるというか、気持ちのもちようを変えるというか、そういう姿を描ている。
日々の生活にちょっと疲れた時などに読んだりすると、共感を得やすいかもしれない。
主人公も、中年のおっさんだったり、小学生の子供だったり、アラフォーの女性だったり、様々。
当然ながら、抱えているものはそれぞれ異なるわけで。
どれか一つでも、共感出来たり、楽しめる作品があるのではないでしょうか。
一つ一つが適度な長さなので、読みつかれることもありませんよ。
読みやすいけれど、何か凄くこう、クル!
みたいなのはなかったかなぁ。