【作品情報】
作品名:僕らだって扉くらい開けられる
著者:行成薫
ページ数:296
ジャンル:エンタメ
出版社:集英社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
有用な超能力度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 日々の生活でちょっとした悩みを抱えている人
さわらずに物を動かせる! ……ただし10cmだけ
相手を金縛りにできる! ……でも力を使うほどハゲる
目を見ると心が読める! ……でも他人の目が怖くて見られない etc…
こんな役に立たない能力(ルビ:ちから)、なくてもよくない??
ある日突然、不思議な力に目覚めてしまった五人。
悪戦苦闘しながら能力と向き合ううちに、
さえない毎日が、思いもよらない方向に転がりだし――。
ちょっとした超能力を持った人たちを描いた短編連作。
それぞれの能力は、10cmだけ物を動かせるとか、相手を金縛りにできる(ただし能力使うと禿ていく)とか、その威力や制限は人それぞれ。
便利だと思うようなものもあれば、いつ使えば良いのだろうかと思うものまで。
皆、それぞれの力に向き合いながら日々を暮らしていく。
たいしたことない能力だけれど、何かの役にたつ。
自分の心持ち次第で能力の使い方も変わる。
誰もが皆、思うようにいかない日常を送っている中で、超能力という存在によってちょっとだけ心持ちが変わったりする。
そうして最後の章で、超能力をもった5人(+その関係者)たちが集う。
彼らの能力一つ一つは小さなものかもしれないけれど、それらを上手い事活用することで発生した事件を解決できるかもしれない。
前向きになっていけるのが良い感じですね。
登場人物の中には当然ながら超能力を使えない人もいるけれど、大事なのは超能力ではなくて、どう考えてどのような行動を起こすか。
心持ち一つで、些細な超能力だって違ったものに見えてくる。
また超能力なんか持っていなくたって、活き活きと日々を過ごしていくことは出来る。
そんな感じで読後感もよく読ませてくれます。
大事件というわけではなく、本当にちょっとした感じ。
でもそれが良い感じ。