【作品情報】
作品名:白い標的 南アルプス山岳救助隊K-9
著者:樋口 明雄
ページ数:448
ジャンル:エンタメ
出版社:角川春樹事務所
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
エンタメ一気読み度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 山岳小説、エンタメ小説好き
甲府市内の宝石店が強盗グループに襲撃された。
備員二名が殺傷され、三億七千万円相当の宝石類が強奪される。
犯人たちは追跡する警察官に発砲し、凶器の拳銃を所持したまま、なぜか冬の北岳へと向かう。
犯人らを追いかける刑事たちは南アルプス山岳救助隊に応援を要請。
選抜されたのは若き女性救助隊員の星野夏実と神崎静奈。
彼らの行く手を阻む猛吹雪、突如として襲い来る雪崩。そして高山病。
果たして--
ということで、南アルプス山岳救助隊K-9シリーズです。
もはや読む順番バラバラですが、基本的に話としてはその巻の中で完結しているので問題なし!
人間関係も、巻が進むにつれて凄く進展する、とかそういうたぐいの作品でもなさそうなので多分大丈夫!
(この本を読んだ時点では、まだシリーズ初期作を読んでいないのでなんともいえないのですが)
今回、北岳に入っていくのは、
宝石店から宝石を強奪した強盗グループ、それも仲間割れして宝石を一人もって逃げた男と追う二人 純粋に登山を楽しみに入山した二人組の大学生 人生に失敗して逃げるように北岳にやってきた男 犯人を追いかけてきた刑事と南アルプス山岳救助隊の星野夏実と神崎静奈
いや、盛りだくさんですね!
メインは宝石強盗と、それを追う刑事なわけですが、それだけでは終わらない。
冬の北岳登山にやってきた大学生の二人組は、途中で一人が滑落して重症、その相棒を助けようとしたためペアの方も脱臼するなど重傷を負い、山の途中で進退窮まる状態に。
犯人の行方を探しつつも、遭難した要救助者の命こそが優先と、夏実と静奈は二手に分かれて進むことに。
複数の事件、複数の人間達が錯綜しながらも、北岳という大自然の中でドラマは収束に向かっていく。
襲い来る吹雪に雪崩。
山に入ったら、人を裁くのは人ではなく山である。
また、許しを与えてくれるのも山である。
私自身は登山の趣味はないのだが、山好きの人はそういう言葉が身にしみてわかるのかもしれない。
一気にラストまで読ませてくれる展開はさすが。
大学生の二人の描写は、なんとなくオアシスな感じですね。
事件に関わるわけではないけれど、山は何か結び付けてくるものがあるのか。
今回のことを機に、今後、山岳救助隊を目指す、なんてありきたりな展開にはならないかな、さすがに?