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SF 書評

【ブックレビュー】渚にて(著:ネビル・シュート)

更新日:

【作品情報】
 作品名:渚にて―人類最後の日
 著者:ネビル・シュート
 ページ数:409
 ジャンル:SF
 出版社:東京創元社

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 静謐度 : ★★★★★★★★★☆
 こういう人におススメ! : 文学的な作品が好き

 

■作品について

第三次世界大戦が勃発したIFの世界。
ソ連と中国の戦争がエスカレートし、水爆とコバルト爆弾の炸裂した大戦により世界は放射能に覆われ、世界は滅亡へと進んでいた。
迫る、人類最後の日。
滅亡を前にして残された人々が送る日を静かに描いた名作。


■良かった点

もしかしたらあるかもしれない、あったかもしれない世界。
核戦争で北半球の世界が壊滅し、放射能は徐々に南下して世界を覆い始めている。
迫りくる死。
でも、自分たちの生活は今のところ変わらない。
そんな、オーストラリア。

主な登場人物は、米国海軍の生き残りの潜水艦艦長、オーストラリアの海軍の軍人とその妻子、二十代の娘とその親戚の科学者。
彼らは世界の、いや自分たちの人生の終わりを前にして、それぞれ向き合い方は異なれど、静かに生活を続けていく。

故国に残してきた妻子が今もまだ待っていると思いながら、アメリカ海軍の軍人として仕事に注力するドワイト。
そのドワイトのことを思い、動き回るモイラ。
淡々と現実を受け止めているオーストラリア軍人のピーター、死が目前に迫っているなんて信じていないその妻。

共通するのは、誰もパニックに陥らずに静かに最期の日に向けて淡々と生活を続けているということ。
朝、普通に起きて挨拶をして、食事をして、仕事に向かう。
家でガーデニングをしたり、牧場で動物の世話をしたり、子供のために買い物をしたり。
来年、再来年など訪れないのに、将来のことを思い描いて生活する。
人間というのは、そういうことが出来る生き物なのだと思わせてくれる。
たとえ明日が来ないと分かっていても、明日を思い描いて生きることが出来るのが人間なのだと。

現実に起きたとしたら、世界はパニックになるだろう。
安全な場所を探して逃げる、働かなくなって好きなことをする、犯罪の増加、インフラの崩壊。
でも、この作品では、ちょっとは乱れたりはするけれど、誰もが良心に従って行動している。
それは、人はこうあって欲しいという作者の思いなのだろうか。

こういう作品だと、世界を、あるいは仲間を救うために試行錯誤をして、トラブルを乗り越え、世界の滅亡を回避したり誰か生き残って未来への希望となる、みたいなことがあるが、本作ではそういうことはない。

静かに、終わりを迎えていく。
そこに希望はないが、美しさがある。

ただ、あまりに切ない美しさだ。

読み進める程に終わりが近づいてくるのを感じて胸が痛くなってくる。

静謐、確かにこの言葉が似合う作品は他になかなか見つからない。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

世界を救う英雄とか、絶望に立ち向かうとか、そういうのを期待しては読まないように。
1960年代に書かれているが、今読んで色あせることもない。

 

 

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