【作品情報】
作品名:光をえがく人
著者:一色さゆり
ページ数:258
ジャンル:エンタメ
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
アジアの情勢がわかる度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : アジア情勢とアートを絡ませた作品に興味あり
拾ったアドレス帳の持ち主を探しに韓国へ。現代美術作品がきっかけの、女性二人旅の結末は──「ハングルを追って」を含む、芸術が照らし出す5編のショートストーリー集。
一色さゆりさんの作品ということで、今作もまた芸術関連の作品だろうと思って手に取る。
そのこと自体は間違っていなかったが、作品内容は思っていたのとは違っていた。
5本の短編で構成された本書は、いずれもアジアをテーマにした作品になっている。
単にアジアをテーマにしているだけでなく、アジア情勢を中にまぶしこんでいるところが時勢ともあっている。
それでいて難解ということはなく、読み手にもわかりやすく簡潔に描いているのもまた良い。
- 韓国
- 香港
- フィリピン
- モンゴル
- ミャンマー
それぞれが、それぞれの事情を抱えている。
日本に暮らしているとなかなか実感もわかないし、詳細もわからない。
そんな国々をテーマに、登場人物たちは過去を探し、未来を目指し、各人の物語を紡いでいく。
無理しているわけではなく、かといって諦めているわけでもなく。
ふとしたことで前向きになったり。
考え方を変えたり。
そんなことを作品内で表現している。
国が異なると同時に、テーマのアートも異なる。
油絵に水墨画に人形に写真に布に描いた絵・・・
あくまでテーマであって、それぞれに対して深い造詣や知識は必要ではない。
なんというか、それぞれの作品が作り出している雰囲気というか空気感というか。
そういうのを味わいながらゆったりと読む本、みたいな感じです。
一色さん、作品の色というか方向性を変えてきているのですかね?
ミステリーとかそういうのを期待して手に取らないように。
一色さんのデビュー作がミステリーでしたからね。