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SF 書評

【ブックレビュー】裏世界ピクニック5 八尺様リバイバル(著:宮澤伊織)

更新日:

【作品情報】
 作品名:裏世界ピクニック5 八尺様リバイバル
 著者:宮澤伊織
 ページ数:352
 ジャンル:SF
 出版社:早川書房

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 百合度 : ★★★★★★★★★★
 こういう人におススメ! : 百合とホラーとネットロアが好きな人

■作品について

裏世界での夜を越すという目標を達成して、さらに深部への探検が可能になった空魚と鳥子。
日常と非日常を往復しながら、ふたりの怪異まみれの日々は続いていく。

新年早々に開催され、空魚の記憶から消え去った混沌の新宿ラブホ女子会。
明らかになる鳥子の大学生活と知られざる内面。
鳥子の気持ちを改めて知って、自分自身の感情に戸惑う空魚。

二人の関係も、裏世界の探検もより深くなっていく第5巻。

■良かった点

前巻で話題に出てきたラブホ女子会。
今巻ではとうとう、ラブホ女子会が開催されます!
空魚と二人だけのラブホ女子会を期待していた鳥子。
果たして、ナニを期待していたのでしょうかね。
でも実際はヘタレた空魚が小桜、茜理、夏妃も呼んで5人でのラブホ女子会になったので、鳥子はちょっと戸惑ったり。
そのラブホ女子会で発生した不思議な現象とは?

いやぁ・・・・そんなことになったらあとで頭抱えたくなります(笑)
いくら、裏世界の影響を受けたとはいえ。

でまあ、ラブホ女子会を終えたあと、鳥子の機嫌が悪くなります。
原因はもちろん、ラブホ女子会を二人でできなかったこと。女子会プランは大勢じゃないとできない、なんて嘘をつかれていたことを知ったからです。
そんな鳥子のご機嫌伺(?)に、鳥子が通う大学に足を延ばす空魚。
そこで発生した怪異の中で知ることになる、鳥子が自分をどのように見ていたかということと、空魚も知らなかった鳥子の姿。
更に、鳥子のそんな姿を知ることで初めて知る、自分自身の動揺、戸惑い、気持ち。

うーん、百合ですな。
二人の関係性を濃くしているのは間違いなく裏世界なわけで。
相手を思うからこそ距離感に惑う。
鳥子はもともと人見知りだし、空魚はコミュ障のサイコパス気質だし。
でも、そんな二人が近づいていくのが良い。
一気にではなく、自分たちの気持ちを丁寧に解きほぐしながら、というのも良い。

その後の話でも、鳥子のことを考えて今までにない顔を見せる空魚を見てニヤニヤする鳥子とか、二人の関係が変わってきているのが分かる。
同時に、裏世界の探検も少しずつだけれど更に奥に進んでいく。
マヨイガに住む老婦人とか、まさかの肋戸の話とか。
今まで独りだった空魚に関係する人がどんどん増えてきて、戸惑いつつも空魚は変わっていく。
今巻でもまた新たに謎の人物が登場して、今後も関わってきそうだけれど、果たして正体はなんなのだろうか。

鳥子と空魚。
さらに茜理と夏妃の関係も楽しみに、次の6巻を待ちたい。

 

■ここが改善できるともっとよかったかも?

百合風味が増しマシになってきている分、裏世界のホラー風味が薄くなってきている?
私はホラー苦手なので別に構わないのですが、もっと裏世界の怖さ、おどろおどろしたところを読みたい!
という人にとっては、もしかしたら物足りないのかも?

 

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