【作品情報】
作品名:ビビビ・ビ・バップ
著者:奥泉 光
ページ数:832
ジャンル:SF、エンタメ
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
なんかもう色々詰まりすぎ度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : ジャズ好き。エンタメSF好き
時は近未来。
女性ジャズピアニストのフォギーは、世界的ロボット工学者から奇妙な依頼を受ける。
それは、自分の葬式でピアノを弾いて欲しいというもの。
でも、それこそ人類の運命を揺るがす事件の始まりだった。
迫りくる危機は世界的パンデミック。
古今東西のSFネタを盛り込み、ジャズと落語と融合させた、何でもありの一大SFエンタメ作品。
長いっ!
ぶ厚いっ!
ていうのが本の見た目の最初の感想ですね。
そしてその厚さ、長さの中に、これでもか! とばかりに色々なものがごった煮的に入れ込まれている。
SFという観点で見ても、AI、アンドロイド、仮想現実、人格のデジタル化、コンピュータウィルス、などなど。
でもそれで難しくしているかといえばそういうわけでもない。
更に物語全編を彩っているのはジャズ。
私はジャズには詳しくありませんが、ジャズプレイヤー達がアンドロイドとなって演奏したり。
さらには将棋の大山名人だの、落語家の立川談志だの、はたまた山田風太郎の作品の忍者だの、色々な有名人をアンドロイドにして登場させ、物語を盛り上げていく。
電脳な世界感をジャズで語る。
これまた面白い趣向であり、ジャズ好き、将棋好きには突き刺さるのではないだろうか。
未来でテクノロジーは進んでいるのに、どこかレトロな雰囲気を出しているのも妙な味。
どちらかというとスチームパンクな雰囲気を出している(実際にスチームパンクか? といわれると違うけれど)
作品の中では更にロボットが殺害される(?)事件も起きたりしてミステリー風味も付け足し。
作者が好きなものをとにかく放り込んで楽しく書き上げたぜ! というのが良くわかる。
登場人物達は誰もかれも人間臭いというか、だらしなかったり情けなかったり、でもちょっと頑張ったり。
そういう人達が、自分たちにできる中でちょっと頑張っている。
そんな人間たちの様子を猫が語り手として話す。
滅茶苦茶だけれど、それこそこの作品にはあっているのだろう。
まあ、長いわね。
ここまで長くする必要があったのか、と思わなくもない。
きっと、作者が書きたいことを書いていったらこれだけ長くなったのでしょう。