【作品情報】
作品名:翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件
著者:麻耶 雄嵩
ページ数:386
ジャンル:ミステリー
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
確実の読み手を選ぶ度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 読み手を選ぶ作品、と言われて気になる人
首なし死体、密室、蘇る、死者、見立て殺人……。
京都近郊に経つヨーロッパ中世の古城を彷彿させるゴチック調の館・蒼鴉城を「私」が訪れたとき、惨劇の幕はすでに切って落とされていた。
事件の最中、満を持して登場するメルカトル鮎。
そして迎える壮絶な結末!
本作が麻耶先生のデビュー作だったんですね、ようやく手に取りました。
そして最初の作品なのに、いきなり、メルカトル鮎最後の事件、ってどういうことよって感じですが。
物語は、蒼鴉城で起きる連続殺人事件。
招かれたのは名探偵・木更津悠也とその相棒である香月実朝。
みるからに怪しげな一族が住む館、発生するのは首無し死体、密室、見立て・・・
様々な要素を含んだ殺人が繰り広げられていく。
おいおい、メルカトルはいつ登場するのよ、っていうと、物語も中盤というか後半になってから。
木更津からメルカトルに。
めまぐるしく変わる推理、明らかにされていく真実。
とにかく読んでいる間は、どんな結論に落ちるのか想像がつきません。
というか、あの結論を思いついた人がいたとしたら凄い。
それくらい、ある意味、度肝を抜かれる真実が明かされます。
本格でありつつ本格でない。
密室、見立て、探偵、そういったもの全てをあざわらうかのような作りは作者の狙ったところだろうけれど。
そして、だからこそ、異色ともいえる作品を出し続けているだろう。
イヤミスともちょっと違う。
まさに「麻耶 雄嵩」が描く作品、とでもいうのだろうか。
当然ながら、読み手を各自に選ぶ作品。
駄目な人は全く受け入れられないだろう。
個人的には、「おいおい」と思いつつ、これが麻耶先生だ、と思わされた。
いや、これが麻耶雄嵩だから・・・
ただデビュー作のせいか? 序盤から中盤にかけての展開というか描写は、いまいちのめりこめない感じがしました。