【作品情報】
作品名:犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー -探偵AI 2-
著者:早坂吝
ページ数:257
ジャンル:ミステリー
出版社:新潮社
おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
AI以相が可愛い度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 設定が面白い本格ミステリーを読んでみたい
人工知能探偵・相以(あい)の驚異的な推理力に大敗を喫した以相(いあ)。
復讐に燃える彼女は、人間の知能を増幅(Intelligence Amplification)させ完璧な共犯者を造り、相以に挑戦状を叩きつけた。
ゴムボートで漂着した死体、密室で殺された漁協長、首相公邸内殺人事件。
連鎖する不可解な事象を読み解く一筋の推理の紐は、なんと以相の仕掛けた恐るべきトリックの導火線だった!?
現代の“ホームズ"VS.“モリアーティ"本格推理バトル再燃!!
AI探偵シリーズの第二弾。
一作目では、相以に敗北してしまった以相。
今度こそはと、以相は新たな犯罪に挑む。
前作ではどちらかというと、AIが抱える問題というものを扱い、それをミステリーに絡めていったものだった。
今回はその辺はクリアした状態から、事件の方によりフォーカスをしてきた感じか。
もちろん、単純に事件をAIが解決するだけでは、普通のミステリーとそんな変わりなくなってしまう。
そんな中で今回出してきたものは、トロッコ問題。
トロッコが走っていて、このまま突き進むと5人の人間をひき殺してしまう。
進路変更すると5人は助かるが、変更した先にはやはり1人の人がいてその人を殺してしまう。
さあ、どうする? 的な。
更に言うなら、例えば自動運転で事故を察知。
このままだと歩行者を殺してしまうが、回避行動をしたら乗車している主人を死なせてしまう。
どっちを優先する? みたいな。
そういった問題をきちんと事件にからめ付けてくる手法はさすが。
ともすれば馬鹿ミスにみえてしまいかねないものを、内容としては本格で組み立てる手法はこの作者ならでは。
ただ、それがために受け入れづらい人もいるだろうなぁ、というのは感じる。
ちょっと変わった本格ミステリを楽しみたい人は手に取ってみては。
前作を読んでいた方が良いけれど、事件としてはこの一冊でも問題なく読めますので。
結局、この作者さんの独自性を受け入れられるかどうか、という感じですよね。