【作品情報】
作品名:探偵が早すぎる (上)
著者:井上 真偽
ページ数:288
ジャンル:ミステリー
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
探偵が早すぎる度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 一風変わったミステリーが読みたい
父の死により莫大な遺産を相続した女子高生の一華。
その遺産を狙い、一族は彼女を事故に見せかけ殺害しようと試みる。
一華が唯一信頼する使用人の橋田は、命を救うためにある人物を雇った。
それは事件が起こる前にトリックを看破、犯人(未遂)を特定してしまう究極の探偵!
完全犯罪かと思われた計画はなぜ露見した!?
史上最速で事件を解決、探偵が「人を殺させない」ミステリ誕生!
探偵というのは事件の中心にいる人にはたいして役に立たないもの。
事件が起きて、被害が発生して、色々な証拠とかが集まってから初めて、その事件を解決できる。
被害者にしてみれば、自分が殺されてから犯人が分かっても意味がないのだと文句も言いたくなる。
しかし今回の作品ではそんなことありません!
主人公の一華は女子高生。
父の死で莫大な遺産が転がり込んできて、一族の遺産争いの中心に巻き込まれることに。
一華の命を狙って、さまざまな刺客が送られてくることはわかっている。
明らかに殺人を犯しては犯人側の方が危ないため、色々なことを仕掛けて事故死などに見せかけてくるはず。
そんな一華を守るために雇った探偵は何と!
事件が起きる前にその事件のトリックを見破り、犯人を見つけ、しかも犯人が仕掛けようとしたのと同じトリックを仕掛け返すという。
事件が発生する前、犯人側が仕掛けのために動いたちょっとした怪しい動きなどから事件を推察。
推理を働かせて、そのトリックと犯人を特定していく論理はさすがのもの。
事件前に解決するという難度の高いことを鮮やかに見せてくれる、今までとは違う探偵もの。
井上さんといえば、「その可能性はすでに考えた」など、他のミステリとは異なる着想のミステリを描いていますが、本作もそうですね。
それでありながら推理は本格。
キャラクターはどこかラノベチック。
そのバランスが上手い感じ。
上巻では刺客をことごとく返り討ちにしますが、下巻では勝負の、父親の四十九日の法要があります。
ここで、上巻以上の刺客と仕掛けがあるでしょうが、そこにどう対応するのか。
楽しみです。
使用人の橋田さんは何者!?
一華の友人たちも含めて変人ぞろい、そういうラノベタッチを許容できないといけません。