書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

マリア様の愛読書

ノーマルCP マリア様がみてる 栄子

【マリみてSS(栄子×祐麒)】本当のことは

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~ 本当のことは ~

 

 

 朝、遠くから雨が降るような音を耳にして意識が覚醒してきた。しばらくするとその音は止み、雨ではなくシャワーの音だったと理解する。ベッドの上に寝転がったまま二度寝しようかどうかうだうだしていると、やがて洗面所の扉が開いてぺたぺたと誰かが歩いてくる気配。
「…………んぁ……」
「なんだ、起きたのか?」
「ふぁ……おはよう」
「何がおはようだ、もう昼に近いぞ」
「あいたっ」
 軽く額をこづかれて、悲鳴を上げる。まだ眠たいまぶたをこすってどうにか目を開けると、窓からカーテン越しに明るい日差しが部屋の中に差し込んできているのが分かる。
 その光を浴びて立っているのは、恋人である保科栄子。
 手に持っているマグカップにはブラックのコーヒー、シャワーを浴びて洗った髪はしっとりとした艶を放ち、その髪を覆うように頭からタオルを被っている。頬はほんのりピンク色で血色がよく、ぷっくりとした唇をちょっと尖らせているのはいつものこと、また家ではいつものように眼鏡をかけている。
 そして。
「ちょっ……えーこちゃん、その格好……っ」
「ん? あ、ああ、これか。その、変か?」
 両腕を軽く上げ、自分の格好を見下ろしてみながら言う栄子。その姿とは、祐麒のワイシャツを着ているもので、小柄な栄子の体は完全にシャツに包まれて袖はだぼっとしており、裾からはスラリとした太ももが伸びている。
「ゆ、祐麒はこういうのが好きなのだろう? まあ、私みたいにいい歳した女がやったところで、みっともないだけかもしれないが……」
 いざ敢行したものの恥ずかしくなったのだろう、もじもじとしてみせる栄子だったが、その恥じらいの姿こそがそそってくる。
「いや、素晴らしいよえーこちゃん! それでこそ……ん、あれ、シャツの下はそれ、ショートパンツ?」
「そうだが……?」
「下着の上にワイシャツかと思ったのに」
「ば、馬鹿者、自室とはいえそんな破廉恥な格好でいられるか」
 言いながらマグカップをテーブルの上に置くと、ワイシャツの裾を軽く持ちあげてショートパンツを見せるのだが、その捲りあげる仕種がいやらしくて萌える。考えてみれば、栄子のショートパンツ姿も貴重なのだ。
「こ、これでも最大限の譲歩をしたんだぞ……」
 恥ずかしげにワイシャツの裾をおさえて太腿を隠そうとする栄子。
「え、えーこちゃん」
「うわわっ、な、なに、急に……って」
 たまらなくなって栄子の腕を取って引っ張ると、バランスを崩した栄子はベッドの上に手をついて体を支える。ワイシャツの胸元から小さいけれど確かな膨らみが見え、目が吸い寄せられる。
「こ……こら、あ、朝からなんでこんな元気になっているんだ!?」
「え? うわっ」
 タオルケットのかかった下半身だったが、明らかにこんもりと盛り上がってしまっている箇所を目にして、栄子が声を上げる。
「いや、朝だからこそ、っていうかえーこちゃんのせいですからね、そんな格好見せられたら興奮しちゃいますから!」
「でも、昨夜あれだけしたばかりなのに」
 七月、海の日を含んだ連休、大学前期試験が終わったから友人の家に泊まりで遊ぶと言って栄子の部屋に泊まりに来た。リリアンのテスト期間、祐麒の試験期間などの重なりもあり、二人きりでゆっくり過ごせるのも一か月以上久しぶりということもあり、栄子を求め、求められ、明け方近くまでしていたのは確かだったが、昼近くまで寝て既に回復して充分になっている。
「えーこちゃ……うぁっ」
 このまま栄子を抱いてしまいたい、でも天気の良い休日の昼間からそれでは怒られてしまうだろうかなどと思っていると、栄子の手の方がタオルケットの上から膨らみを握ってきた。
「このままじゃあ外出も出来ないからな、仕方ないから、してあげるだけだぞ? まったくこんな日中から祐麒が盛るからいけないんだからな……」
 言いながら栄子は祐麒の乳首に舌を這わせつつ、握った手を上下に動かし始める。
「えーこちゃん……く……っ」
 栄子の手がタオルケットの中に入り込んで直接触れてくる。まだしっとりとしている栄子の髪の毛を撫でると、くすぐったそうに身を捩りつつも胸へのキスはやめようとしない。
 確かに自分のせいであるのは間違いないけれど、これって栄子自身の望みでもあるようなと思いつつ、口に出すことはない。恥ずかしがりの栄子が自ら求めてくるようなことを言ってはこないから、あくまで祐麒が求めていることにしないといけないのだ。
 まあ、それも本当のことだから祐麒としては構わない。
 快楽を感じながらも、ワイシャツの中に手を入れて栄子の体を求めてゆくのであった。

 

「――夕方になっちゃいましたね」
「祐麒のせいだぞ、あんな……何回も」
「すみません、でも我慢できなくて。久しぶりでしたし」
 事を終えて再びシャワーを浴びて外に出るころには、既に夕方になっていた。
 精力旺盛、やりたい盛りの十代である祐麒は本当に衰え知らずというかで、栄子も驚くばかりである。他に男を知らない栄子であるが、美月や理砂子など友人の話を聞くに、普通は数回、弱い人だと一回で終わる人も多いと聞くから祐麒は相当なものなのだろう。
 だがそれを理由にして栄子自身が求めていることも、栄子は分かっていた。
 三十半ばにして生まれて初めて出来た高校生の彼氏を相手に初体験し、セックスのことを知った。他の男を知らないから比べることも出来ないが、相性が良かったのと栄子自身の本質が合わさったのだろう、祐麒といるとセックスがしたくてたまらなくなるのだ。
 また今までこれを知らずに生きてきたことを勿体ないとも思ってしまい、それを埋めようとするかのように求めてしまう。でも祐麒よりもずっと上のいい歳した女として、また教師として、自分から求めるなんて出来なかった。
(――その点では、祐麒がエッチで絶倫だということはまあ、ラッキーではあるな)
 もちろん栄子は、そういった自分の本質であったり、自ら求めてしまっていたりと、そういったことが祐麒にはバレていないと思っている。
(歳とってからセックスの快感を知ったからハマっているんだ、なんて美月は言うけれど、私じゃなく祐麒があれだけ求めてくるんだから仕方ない。うん、年上として恋人を甘えさせることも必要だし、そういうことだ)
 昨日だって、前回から一か月以上も空いていたから激しく求めてきたし、何度も何度も求めてきた。そりゃあ栄子だって待ち焦がれていたというのはあるが、限度というものはある。
(う……ん、でも祐麒のやつ、買い物にいかないといけないからとやめた時、まだ物足りなさそうだったな。まあ幸いにして今日も泊まりだから、今夜また相手をすればよいだろう……決して私が物足りないわけじゃあない、祐麒は若いしな、それに私が相手をしないで溜まって他の女に劣情しても困るし、だから今夜は満足するまで相手をしてもら……してやらねばなるまい)
 一人、内心で頷いていると。
「――えーこちゃん」
「えっ!? な、なんだ」
「これ、どっちにします? ほら前に観たいって言っていたやつなんですけど」
 祐麒が両手に持って見せていたのは映画のブルーレイ。レンタルショップで今夜鑑賞する映画を探しに来ていたのだが。
「そうだな……こっちかな」
「あれ、前はこっちの方が興味があるって言ってませんでしたっけ」
「そうだったか? まあ、その日の気分でも変わるからな(……って、そっちは三時間以上もの大作じゃないか! 確かに観たくはあるが、そんなに時間を使っては……)」
 ということでブルーレイをレンタルし、夕食用の食材を購入し、あとついでに薬局で幾つか必要なものを購入(祐麒と一緒だと大量に必要になる)し、のんびりと帰宅の途に就く。
「ふぅ……しかし暑いな、陽が陰ってきても」
 七月後半、日中に上昇した気温は下がることなく蒸し暑さを継続している。せっかくシャワーで汗を流してきたけれど、すでにじっとりと汗が肌に浮かび上がってきている。
「暑いのにパーカーなんか着ているからじゃないですか?」
「馬鹿、日焼けは肌の天敵だぞ」
 カップ付きのタンクトップにパーカー、下はクロップドパンツ、露出は控えめであるが本当なら帽子をかぶってくるところ忘れてしまった。
「私は肌もあまり強くないからな、日焼けはしたくない」
「日に焼けたえーこちゃんも可愛いと思いますけど……うん、それでも確かに焼けていない方が俺も好みですね」
「……今、エッチな想像しただろう?」
「し、してませんよ」
 そう答える祐麒だったが、顔を見て絶対に想像をしていたと確信する。別にそれが悪いわけではないのだが気恥ずかしくはなる。
「ところでえーこちゃん」
「ん、なんだ?」
 信号待ちで立ち止まっていると、話題を変えてきた祐麒に目を向ける。
「俺の家にはいつ、来ます? 試験も終わったし、終業式が終わって夏休み入ったくらいでいいですよね」
「あ……い、いや、夏休みに入っても研修とか色々と」
「試験が終わったらって言ったのはえーこちゃんですよね? それに、夏休み最初の週末は空いているからどこか出かけようかと言ってきたのもえーこちゃんですよ」
「あ、あう、あう」
 笑顔でにこやかに言われて声を失う。
 そう、GWに栄子の実家に二人で行ってから、今度は祐麒の家に行って顔合わせをしないといけないと思ってはいるのだが、なんだかんだと理由を付けて先延ばしにしてきた。理由は勿論、栄子自身の年齢である。
 今さらといわれたところで、そう簡単に決意を固められるものではない。なぜって、もしも強い拒絶にあったら、祐麒との関係が終わってしまうかもしれないから。栄子が相手の親の立場だったら、やっぱり認めるのは難しいと思う。まだ二十歳にもなっていない息子の恋人がアラフォーの女なんて。
 駄目だったら潔く身を引こう、なんて思えた時期はとうに過ぎ去ってしまっていて、今や栄子の方だって祐麒がいない人生なんて考えられないくらい、想っている。
「だから大丈夫ですって。それに、いい加減に認めておいてもらえないと、せっかくの夏休みなのにえーこちゃんの部屋に入り浸れないじゃないですか」
「い、入り浸るって、馬鹿者、そんな不摂生な」
「えーこちゃんは、嫌ですか?」
「嫌……ってわけじゃないが、むしろその方が……そうじゃなくて」
「そうじゃなくて?」
「…………うぅ、あ、ああもう分かった、私も覚悟を決める! 夏休み、最初の週末だな」
「はい、それじゃあ家族に言っておきますから」
「あ、ああ」
 とは言いつつも不安はぬぐいきれない。目に浮かぶのは、息子がどんな可愛らしい彼女を連れてくるのかと楽しみにしていた両親が、栄子の姿を見て驚き失望するシーン。声に出さなくとも、そういうのは表情や雰囲気に出てしまうもの。たとえそうだとしても、それは当たり前の反応であり、動揺したり失望したりしてはいけないと今のうちに自分に言い聞かせておく。
 信号が青に変わり、歩き出しながらそんなことを考えていた栄子の手が、そっと祐麒の手で包まれる。
 まるでそれは、「大丈夫、安心してください」と栄子を勇気づけるかのように。ずっと年下なのに、こうして時折頼もし気なところを見せてきて、そしてそれにドキッとしてしまう自分がなんか悔しくて。
「――暑いぞ、こら。手も汗ばんでいるし」
 わざと顔を顰めて見上げてみせる。
「えーっ、酷いっ」
「ふん、本当のことだ」
 そう言いながら。
 栄子はその手を握り返すのであった。

 

 

おしまい

 

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