【作品情報】
作品名:人外サーカス
著者:小林泰三
ページ数:312
ジャンル:ファンタジー
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
スプラッタ度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : B級バイオレンスアクション好き
かつて脱出マジックで失敗し、トラウマを抱える蘭堂。
彼が所属するサーカスは経営難でメンバーの多くが辞めていって残すは10人ほどになってしまった。
そんなサーカス団に、なぜか吸血鬼達が襲い掛かってきた。
サーカスの技で対抗する蘭堂達サーカス団員。
果たして、戦いの行方は?
強大な力を誇る吸血鬼達に、普通の人間であるサーカス団員達がサーカスの技で立ち向かう。
この設定だけで、果たしてどんな技で戦おうというのか気になるというものです。
空中ブランコの技で立ち向かう。
アクロバットで立ち向かう。
動物を使って立ち向かう。
マジックで立ち向かう。
いやいや、これで立ち向かえるのか? そう突っ込みたくなりますが、団員たちは真面目です。
どれだけ傷つけても回復してしまう吸血鬼を相手に絶望的な状況になる団員達。
なのですが、会話はいつもの小林さん風味なので、なぜか緊張感がそこまで出てこないというか、とぼけているというか。
それでも吸血鬼が強いことは変わりなく、かなり酷い目に遭います。
そして吸血鬼達はどれだけ攻撃されても回復していくので、もっとひどい状態になる。
グロいのだけど、なぜかグロさをそこまで感じさせないのはバトル要素の方が強いからでしょうか。
そして登場してくる、スーパーじじいの徳さん。
相手が吸血鬼であろうと関係なし、容赦なく倒してくれます。ていうか、吸血鬼に簡単に勝てるお爺さんて・・・
基本はバイオレンスアクションですが、それだけではありません。
ちょっとしたミステリー要素も組み込まれており、後半で「おや?」と思わせてくれる。
そして、ほんのりと余韻を残したラスト。
これもまた、「もしかして・・・・?」なんて思わせてくれる。
改めて読み返してみると、サーカス団員達の真剣ながらもどこか運任せの戦いが笑える。
特に自分たちの力を使うのはまだしも、サーカスの動物の力を借りるのは完全に運だよなぁ。
「野生の勘で、適宜動いてもらうしかない」
いや、動物だからそうかもしれないけれど、って、それでいいのか!? 改めて読み返すと、笑える一文である。
と、突っ込まずにはいられない、さすが小林泰三。
スプラッタとバトルとコメディが絶妙に混じり合った一作です。
もう少しサーカスの技らしいものを使っていると思ったけど、そこまでではなかった。
まあ、個人的に自分が事前に思い描いていたものとの差、ということですけれど。
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