【作品情報】
作品名:ランドスケープと夏の定理
著者:高島 雄哉
ページ数:292
ジャンル:SF
出版社:東京創元社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
読んでて頭クラクラする度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : ハードSFにちょいラノベ風味まざりでいける
天才物理学者である姉に振り回される、数学者の弟・ネルス。
姉のテオはラグランジュポイントのL2に浮かぶ国際研究施設で働いているが、そこに呼び出されたネルスは、またしても姉に振り回されることになるのだが。
3つの連作中編で織り成される、本格ハードSF。
がっつりハードSFだ!
「知性定理」や「理論の籠」、「ドメインボール宇宙」、「運動エネルギー非保存空間」などなど。
いやー、読んでもなかなか理解できない。
「運動エネルギー非保存空間」はちょっとおもしろそうだと思ったけれど。
とにかく、普通に理論や様々な用語が出てきて、ハードSF者でないのでそういうのはなかなか辛い。
それでも読み進められたのは、ハードSFでありながら、人物はソフトでキャラが立っているからである。
天才だけど我が儘、自由奔放に生きている姉のテオ。
どこかのんびりとしていて、姉に振り回されつつもそんな姉が好きなネルス。
ネルスの話し相手でもあるAIの翠雨。
他にもネルスの友人・知人を含め、登場人物は多くないながらも、そういう人間関係が読みやすくしてくれている。
SFが好きな人はそのハードSFとしての世界というかアイデアを楽しむ。
ハードSFが苦手な人でも、ネルスと姉の物語、ネルスとその他の人物の物語として読むことはできるだろう。
事実、私はハードSFなアイデアの理解はどこまで出来たかあやしいもので、ハードSFの設定を背景にしたネルスという青年の物語として読んだと思う。
とりあえず、姉が好きだということは分かる。
むしろ姉SFといわれるのも分かる気がした。
やっぱりハードなだけに、追いつけないというか、受け付けない人はいるでしょう。
その辺は割り切って読んでしまうというのもひとつの手です。
価格:1,800円 |