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ミステリー 書評

【ブックレビュー】medium 霊媒探偵城塚翡翠(著:相沢沙呼)

更新日:

【作品情報】
 作品名:medium 霊媒探偵城塚翡翠
 著者:相沢沙呼
 ページ数:386
 ジャンル:ミステリー
 出版社:講談社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 最後にひっくり返される度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : 魅力的なヒロインに興味あり

■作品について

推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。
彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。
しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。
一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。
一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。
だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた―。

■良かった点

2019年のミステリランキング5冠を達成した本作。
作者については「マツリカ」シリーズなどを読んで知っていたし、発売された時に本屋で見かけて買おうかどうしようか迷ったけど見送り。
その後、一大フィーバーというと言い過ぎかもしれないが、各所で話題になり。
とはいえ買い時を見失ったのでそのまま置いておいて、この度、文庫化されたのでようやく手に取ってみた。

なるほど。
連作短編ミステリーで、最後の章でそれまでのことが全て一つに収束するというか、それまでのことが伏線でありひっくり返されるというか。
もともとラノベチックな文章なので読みやすく物語を進め、一つ一つの事件も楽しく読んでいける。
それを大きくけん引しているのは、城塚翡翠というヒロインの存在が大きいのは確か。
各所で、

翡翠ちゃん、可愛い!

と言われているのもわかるというもの。
彼女に魅力に惹かれながら読み進める人もいるかもしれない。
霊媒で死者の言葉を伝えることができる翡翠の力を活用して、事件を解決に導いていく。
珍しいタイプのミステリかもしれないが、何でもありではなく、知ることのできる情報は限られるし、死者から聞いたなんて証拠にならない。
だから、そこからいかに論理を組み立てていくのか、という形になる。

だけど、それらの推理も全てが最後でひっくり返される。
読みながら一緒に考えていた読者も、「ええーっ!?」てなるかもしれない。

あと、作品の中で相沢先生、自虐してましたよね、多分。翡翠の口を借りて。
女子の制服について詳しい男性推理作家とか云々の下り。

最後まで読んだうえで翡翠を好きでいられるのか?
ここに、本作の評価の分かれ目もありそう。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

いやー。
真犯人はすぐにわかっちゃいますよこれ。ある程度ミステリー読んでいる人なら。
あと、最後の種明かしをしたことで、今後、翡翠はどんな形で推理することになっていくのでしょうかね。

うーん、楽しんでいたけれど、微妙っちゃ微妙なところがあるのも確かなんだよなぁ。。。
あと、以前の作品から、男性目線で描かれているヒロイン描写とかがねっとりとして、なんとも偏執的に感じる部分があるのはやっぱり変わらないですね。
いや、だいぶん、抑えているようには感じますが。あえて、やってはいるのでしょうけれど。

 

 

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