【作品情報】
作品名:モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語
著者:ミヒャエル・エンデ
ページ数:360
ジャンル:SF、ファンタジー
出版社:岩波書店
おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
大人は胸つまされる度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 大人になったあなたにこそ!
時間におわれて、本来の人間らしさを失ってしまった人々。
その背景には、「時間どろぼう」がいた。
不思議な少女モモは、そんな人たちを本来の姿に戻したくて、時間を取り戻すため「時間の国」へと行く。
時間とは何か?
そんなことを問いかける、大人にも子供にもお薦めしたいファンタジーの傑作。
これが児童文学というおそろしさ!
確かに、子供が読めば、モモがみんなのために「時間の国」に行って冒険するファンタジー、なのかもしれない。
でもこの作品の序盤から中盤、時間泥棒に時間を盗まれてしまうくだりとか、それによって生活が狂っていく人達とか、幼い子供が読んで本当に分かるものだろうか?
むしろ、大人になって仕事をしてから読んだ方が身につまされること間違いありません。
とにかく時間がない、時間は限られている、時間は無駄に出来ない。
だから効率だけを追い求める。
友人とのお喋りとか、病気になった親のお見舞いとか、好きな人へのアプローチとか、そんなの時間の無駄!
そう切り捨てて、仕事だけをする。
節約できた時間は「時間銀行」に貯金するのだけれど、その時間は生活の中から削られただけなので、全く余裕などない。
あれだけ効率化したのに、まだ駄目なのかと更なる効率化にはしる・・・・
何コレ、この痛い展開は。
人が生きる上での豊かさってなんなんだろう。
何が本当に大事なんだろう。
そういうことを、大人になってから読むと考えさせられる。
この作品が伝えていることって、まさに「働き方改革」ではないでしょうか?
エンデはもう40年も前から先を見て警鐘を鳴らしていたのですかね。
とにかく、児童文学の皮をかぶった、大人のための大人こそが読むべき本です。
お子さんのいる方は、お子さんのために買うといって是非、ご自身やご主人や細君に読ませてみましょう。
絶対に読んでおくべき一冊。
児童文学なのでひらがなが多くて、大人になって読むと逆に読み辛いという!
それ以外は文句なんかありませんよ。
モモ 時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえして [ ミヒャエル・エンデ ] 価格:1,836円 |