書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

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【マリみてSS(色々・ネタ)】小ネタ集15 ノーマルCPショート6

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<1>

部屋の中は、緊張感に包まれていた。時は夜、既に風呂にも入り、あとは寝るだけとなっているのだが。

祥子と正式に付き合い始めてから、初めて二人きりの旅行。自然の豊かな土地で、ゆったりのんびりした時間を楽しんだ。
デートはしていたけれど、二人きりでの旅行は、今まで許されなかった。
何せ相手は小笠原家のお嬢様、色々と問題が山積して、実行することはかなわなかった。今回は、待ちに待った旅行なのだが。
「ゆ、祐麒さん、へ、変なことしたら駄目ですからね。私に触れたら駄目ですから」
「は、はい、分かってます」
予約したホテルの部屋が、なぜかダブルルームで、当然、同じベッドに寝ることになるわけで。
付き合っているとはいえ、何せその手のことにはからっきしの祥子。結婚するまで肉体的交渉など駄目だと言わんばかりである。
だから、いまだにキスすらしたことないのに、それがいきなり同じベッドで寝るなんて、ハードルが高いだろう。
祐麒だって性欲はあるが、祥子のためなら我慢できた。だから同じベッドでも背を向けて、眠ろうとしていた。
広いダブルベッドなので、二人で寝ても十分に余裕はある。緊張しながらも目を閉じて、うとうとしはじめていた。
と、その時、いきなり下から突き上げるような震動が起きた。
「きゃあっ!?」
さらに続いて、かなり大きな横揺れ。地震である。地震は長くは続かず、すぐに収まった。幸い、家具類も倒れたりはしていない。
「祥子さん、大丈夫ですよ、もうおさまりましたから」祥子を安心させるように、そう言う。
「ほ、本当ですか?」
「本当ですよ……それより祥子さん、俺、祥子さんに触れちゃまずいんじゃなかったでしたっけ?」
というのも、驚いたためかあるいは怖さのためか、祥子は祐麒の体にしがみついてきていたのだ。ぴったりと寄せられ感じる祥子の感触。
「わっ……私が触れるのは、いいんですっ」
拗ねた口調の祥子であったが、暗い中でもその頬が朱に染まっているのが分かり、つい愛しくて髪を撫でてしまう。
「もう、祐麒さんは駄目だって、言ったでしょう」
言いながら、祐麒の体からはなかなか離れようとしない祥子なのであった。

 

<2>

めちゃめちゃ恥ずかしかった。まさか、こんなことをさせられるなんて、思ってもみなかった。
歩いている間も、他の人の視線が自分に向けられているのではないかと、気が気ではなかった。
「大丈夫だったね、やっぱり、似あっているからだよ」
恋人である令が、いつもながらアイドル顔負けの美少年っぷりの爽やかな笑顔を見せつけている。
シャツにジーンズというスタイルは、シンプルながら令の格好よさを引き立たせている。
一方の祐麒はといえば。
「うん、やっぱり、可愛い祐麒くんっ」
と、令が言ってくれるが、嬉しがってよいのかどうか。何せ、カットソーにプリーツスカート、化粧もしての女装姿だったから。
服は令のもので、メイクも令がしてくれた。色々とあって、今日は令が男装、祐麒が女装と、逆転してのデートだった。
ばれるかと冷や冷やしていたのに、今のところ誰かにばれた様子はない。確かに、女顔ではあるが、これでいいのか。
ため息をついていると、不意に令に肩を掴まれ、そのまま優しく体を倒される。
「え、れ、令ちゃん?」
「ふふ、今日はエッチでも、立ち場逆転だから。女の子として、可愛がってあげるね」
ほんのりと上気した頬、少し色っぽい表情、見たことがないような令だった。
ここはラブホテルの一室、そしてベッドの上。仰向けに寝かされた祐麒の脇腹に令の手が触れる。
女装は本格的で、下着まで女性物を身に着けさせられている。令の手がスカートの中に入り、内腿を撫でてくる。
慌てて脚を閉じようとするが、令が耳たぶを甘噛みしてきて、力が抜けてしまう。
「うぁっ……ちょ、令ちゃ……んっ」
「可愛い、祐麒くん。うふふ、お肌もすべすべして、本当に女の子みたい」
初めて令と体を重ねて以来、令はいつでも恥ずかしがって、初々しかった。それがこの変わりようはどうだ。
いつもと異なる状況に興奮しているのだろうか。思いながら、やはり興奮してきている自分がいるのも確かで。
されるがままっていうのもたまにはいいかな、なんて思ってしまう、ダメダメな祐麒なのであった。

 

<3>

疲れた。
何時間も歩き、連れまわされ、非常に疲れた。いや、一日中歩いているから疲れたというわけではない。
今まで何度もデートして、一日中遊び歩いたって、平気だった。だというのに、なぜこんなにも疲れるのか。
「どうしたの祐麒くん、情けないぞー」
三奈子が笑いながら、そんなことを言っている。顔には出していないつもりだったが、三奈子にはさすがに分かるようだ。
「何、祐麒、もう疲れちゃったの? だらしないなー」
と、口を尖らせているのは祐巳。今日は、三奈子と祐巳に連れられての買い物だった。
三奈子との買い物なんてしょっちゅうだったのに、なぜに祐巳が加わるとこんなに疲れるのか。
それは、女の子同士の買い物になってしまっているからだろう、と思う。三奈子と二人の時の買い物とは、どうも違うのだ。
「ねえねえ三奈ちゃん、これ、可愛いと思わない?」
「うわ、可愛い、可愛いっ! 祐巳ちゃんぴったりじゃないの? 試着してみなよー」
きゃあきゃあと、二人で楽しそうにしている。
祐麒と三奈子の仲も福沢家公認となり、三奈子もよく家に遊びに来るようになり、家族ともすぐに仲良くなった。
特に祐巳とは一気に仲良しになり、リリアンの先輩後輩関係のはずが、いつしか「三奈ちゃん」、「祐巳ちゃん」と呼び合う仲に。
会話もため口で、完全に仲の良い友達になっていた。
そんな二人に何時間も付き合わされて、本格的に疲れてしまった。
思わず息を吐き出し、肩をほぐすように動かす。あと、どれくらいで終わるだろうか、なんて考えてしまう。
すると、三奈子がポニーテールを揺らしながら、祐麒の近くに寄ってきた。
「もー、祐麒くん、そんな顔しないの。そんなに疲れたの?」
「いや、大丈夫」
笑って見せるけれど、やっぱり三奈子には通じないようで、首をかしげている。ポニーが揺れる。
「しょうがないなー、それじゃあ、元気の素」
と、いきなり顔を寄せてきたかと思うと、唇に柔らかくて甘い感触。
こんな公衆の面前で何をするかと赤面する。見ていた祐巳も顔を赤く、目を丸くしている。家族に見られるのは凄く恥ずかしい。
そして、実行犯の方はというと。
「えへへー、なんか、私も元気になっちゃった」
満点の笑顔で、そう、言うのであった。

 

<4>

志摩子は緊張していた。
トートバッグをギュッと強く握りしめる。果たして、喜んでくれるだろうか。受け取ってくれるだろうか。
朝から、そんなことばかり考えている。
今日は、祐麒とのデート。今までより少し頑張ったのだけれど、余計なことだと思われないか。また、不安に襲われる。
「志摩子さん、どうしたんですか?」
いつもと少し違う志摩子の様子を察したのか、祐麒が尋ねてきた。
「あ、あの、実は……今日、お弁当を作ってきたんです。よかったら、食べていただけないでしょうか」
頑張って、言う。トートバッグから、朝、頑張って作った弁当を取り出す。
「え、本当ですか? うわ、凄く嬉しいな。もちろん、喜んで食べますよ!」
ここは、広くて気持ちの良い公園のベンチ。二人並んで座っているけれど、二人の間は微妙な距離。
やはり少し恥ずかしいけれど、弁当箱を差し出す志摩子。照れたように受け取る祐麒。
横目で志摩子を見ながら、包みをほどき、弁当箱の蓋を開ける。
中には、銀杏ご飯、砂肝と銀杏のアスパラ炒め、ひじきと銀杏の煮物、銀杏がんも、等々……
「あの、私の好きな、得意の料理なんですけれど……お、お口にあわなかったらごめんなさい」
「い、いえっ、そんなことないですよ! 俺、銀杏大好きですからっ」
笑って箸をとり、すぐに食べ始める祐麒。確かに銀杏は嫌いではないが、さすがにここまで銀杏ずくしだと、ちょっと困る。
内心では汗をかくが、だからといって、あまりに純真に輝く、期待に満ちた瞳で見られているので、箸をとめるわけにもいかない。
「……そ、そうだ、志摩子さんも、どうぞ」
間を開けるために、思わずそんなことを口走り、銀杏がんもを箸にとって志摩子に差し向ける。
すると、きょとんとした志摩子が、次の瞬間に顔をさーっと真っ赤に染める。
それはそうだ、これはれっきとした、「あーん」というやつだ。悟って祐麒も赤くなるが、ここで引き返すこともできない。
どうしようもなく、固まっていると。おずおず、といった感じで、目を閉じてその小さい口を色っぽく開ける志摩子。
ゆっくりと、可愛らしい口の中に差し入れる。小さな口が、受け入れる。
「美味しい……」ゆっくりと咀嚼して飲みこんだあと、恥ずかしそうに俯きながらつぶやく志摩子。激しく頷く祐麒。
「良かった、喜んでいただけて。あの、良かったら次も作ってきますね。レシピ、まだまだあるんですよ」
嬉しそうに言う志摩子を見て、祐麒はもちろん、断わることなどできないのであった。

 

<5>

絶対に駄目だ、そう思ってしまうほどに、寄りたくなってしまうものなのか。
相手は確かに美人で、年上で、優しくて、お茶目なところがあって、とても、とても魅力的なのだけれど。
「どうしたの、祐麒さん。ぼーっとしちゃって」
彼女は、やわらかな落ち着いた笑みで祐麒を見る。思わず、顔に熱が上がりそうになるのを、どうにか心を落ち着けておさえる。
そう、変なことを考えてはいけない。何せ相手は、人妻なのだから!
小笠原清子。高校生の娘を持ちながら、とてもそうは見えない容姿の持ち主。その肌の感触だって、とても若々しくて……
偶然に触れてしまったあの時の、清子の肌の感触を脳裏にまざまざと思い出して、一人、赤面しそうになる。
許されるわけないのに、こうして会ってしまうのは、やはり惹かれているからだろう。
ひょんなことから、庶民の店や物品に興味を示し、その案内役としてなぜか祐麒が一緒にいることが多かった。
偶然でもあり、必然でもあるこの状況。清子は十分に若々しい。祐麒の鼓動を速めるくらいに。
「あら、降りだしちゃったわね」
呟くように言う清子。確かに、清子の言うように、雨粒がぱらぱらと落ちてきて、祐麒の頬にもあたった。
小笠原家まであと少し。祐麒一人なら濡れても、あるいは走っても構わないが、清子と一緒なのでそうもいかない。
「大丈夫、折り畳み傘を持っているわ」
「あ、じゃあ俺が持ちますよ」
バッグから取り出した折り畳み傘を受け取り、広げる。小さいので、清子が濡れないよう、清子側に傾ける。
「それでは祐麒さんが濡れてしまいますよ」
「俺は、大丈夫ですから」
「そういうわけにはいきません。ほら、こうすれば、あまり濡れないでしょう」
言いながら、祐麒との距離を縮める清子。その手が、祐麒の腕を取る。心臓が、跳ねる。
「ごめんなさいね、こんなおばさんと腕を組むなんて、恥ずかしいでしょう。でも、家はすぐだし、この辺は歩く人も少ないから」
恥ずかしかったが、清子が言うような理由のせいではなかった。体を接するようにしても雨は腕にかかるが、まったく気にならない。
「家に着いたら、シャワーを浴びていってくださいな。ね?」
シャワー、という単語に情けなくも反応する。
だが、「ね?」と小首を傾げるようにして上目づかいに見上げてきた清子の瞳は、いつになく艶があるように祐麒は感じたのであった……

 

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