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ミステリー 書評

【ブックレビュー】オルゴーリェンヌ(著:北山猛邦)

更新日:

【作品情報】
 作品名:オルゴーリェンヌ
 著者:北山猛邦
 ページ数:381
 ジャンル:ミステリー
 出版社:東京創元社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 独特の世界観が良い度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 幻想的な世界での本格ミステリ作品を楽しめる

 

■作品について

書物が駆逐されていく世界でミステリを検閲するエノ。
エノと再会した少年クリス、二人を待ち受けていたのはオルゴールを作り続ける孤島の洋館で発生した連続殺人。
先に到着していたもう一人の少年検閲官カルテのもとで、三人は事件の解明、犯人の発見を目指す。
少年検閲官シリーズの第2弾。

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■良かった点

前作「少年検閲官」は、世界観の紹介という部分も大きかった。
シリーズ2作目ということもあり、その点については前作よりは控えめに、より事件の方を大きく描いている。
その独特の世界は、良い雰囲気を出している。
孤島の洋館、オルゴールを作る、といった場所も非常にマッチしている。
現代世界を舞台にしてしまうと、そんな場所に現実味はないのだが、この世界ならさもありなん。

登場人物も、エノに加えて新たな少年検閲官・カリテが登場して物語と推理に華を添える。
その推理、謎はもちろん本格ミステリ。
北山さんだから当然、物理トリックによって展開されていくわけですが、この辺はやっぱりさすが。
雰囲気は幻想的であるのに、謎はガチガチの物理でロジック。
そして連続殺人においては、殺人が続くにつれてその難易度があがっていくというのも見せ方としてうまい。

焚書、書物が駆逐されていく世界というのも、物語の内容に意味を落としている。
ただ雰囲気を出すためではなく、きちんとミステリとしての世界に意味を成している設定なのである。

最後に明かされる犯人。
そして、終幕で示されたもの。
エノの、クリスのこの先は果たしてどうなるのか。
単にミステリ一作品としてだけではなく、「少年検閲官」の物語としての世界の続きが気になる一作でもある。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

個人的には問題なく楽しめた。
少年達が耽美にも感じ取れる人はいるかもしれない。
シリーズの続編が出ないのか気になる。

 

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