【作品情報】
作品名:祈りのカルテ
著者:知念 実希人
ページ数:248
ジャンル:ミステリー
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
こんな医者がいたらいいな度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 優しい気持ちになれる物語が好き
大学付属病院で研修医として勤める諏訪野良太。
外科、小児科など様々な科をまわって将来どこの科に進むかを悩んでいる諏訪野のもとにやってくる様々な患者たち。
彼らは様々な思いと、そして謎を持って病院にきている。
患者の気持ちに寄りそう諏訪野が導く、連作ミステリー。
医者というのは大変な職業だと思いますが、それでも所属する科によって様子は随分と異なるのだなというのを、本作を読んで感じた。
もちろん、書かれていることが全てではないのだろうが、きっと大きくとらえるとそういうことなのだろうなと。
研修医なので、色々な科をまわって経験を積んでいるという設定が良いですね。
だから、色々な症状の患者と向き合うことになるわけで。
病院にやってくる患者たちは、単に怪我や病気でくるわけではなく、謎を持ってやってきている。
初期の胃がんで、内視鏡手術で済むのにそれ拒否、あるいはわざわざ開腹手術を求める老人。
睡眠薬を大量にのんで救急搬送されてきた女性の腕には火傷の痕で名前が書かれていたり。
そういう患者たちを相手に、諏訪野が彼らの思いや悩みをすくいとり、解決に導いていく。
ただ治療して退院させればよい、というのではなく、きちんと患者に寄り添っているところが良い。
まあ、研修医だからすれておらず、逆にそういうことができたのかもしれませんが、諏訪野という青年の心の優しさがあるからなのでしょうね。
5つの短編はそれぞれ独立しており、読みやすくサクサクと進められる。
読後感もさわやかで温かな気持ちになれるので、時間の無い人とかにもおすすめ。
がっつりと深くに切り込んでいくような作品ではありません。
あくまで軽く、それでいて優しくなれる、そういう作品。
価格:1,404円 |