【作品情報】
作品名:女王はかえらない
著者:降田 天
ページ数:317ページ
ジャンル:ミステリ
出版社:宝島社
おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
学園ノワール度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : ミステリーはこれから、な人
とある田舎の小学校。
4年1組には明らかにクラスの女王様がいて、彼女を中心として日常はまわっていた。
そんなある日、都会から引っ越してきたもう一人の女の子。
二人の少女を頂点としてクラスの女子を真っ二つに分かれての、女王様の座をめぐる争い。
争いはエスカレートし、やがて大きな事件を引き起こす。
事件の真実とは、果たしてどのようなものなのか--?
第一部 「子どもたち」は、とにかくスクールカーストをドロドロと見事に描いた展開。
クラスの女王様のマキ、そして彼女を取り巻くクラスメイトの女の子達。その取り巻きの中でも上位から下位までランク付けされ、何か女王様の不況をかうとポイントがマイナスされてランクが落ちる。いや、怖い怖い。
物語の中のこととはいえ、現実でもあるんでしょうね、こういうことは。
マキに対抗する少女、エリカの登場によって空気ががらっと変わる。
マキのもとでランクを落とされた少女やマキを気に入らない子が、対抗しうる女王候補と見るやあっさりそちら側について、互いをなじり合う。これまた、あるんだろうなぁ。
子供の残酷さを描いており、ドロドロとして気持ち良くなどないのに、先へと読ませてくれる。
そうした権力闘争の中に伏線をはりつつ、第二部へとうつる。
がらっと視点、展開が変化する中で、第一部で発生した事件はどのようなことになったのだろうかと考えながら読み進み、そうして第三部で謎が解明される。
伏線なども回収され、「そういうことだったのか」と思わせる、ミステリーとしての流れをきっちりみせてくれる作品。
ミステリーを読み慣れている人であれば、第二部を読めば大体のトリックというか仕掛けは分かると思う。それくらい、非情に分かりやすいです。
ミステリーはあまり読んでいない、という人は驚きの展開かもしれません。なので、ミステリー深耕度によるかなぁ。
あとは、物語的、内容的にそうなっちゃうんですが、登場人物は基本的に不快に思えるような人(子供)が多いです。でも、それでも読ませちゃう筆力はありますよ。
まあ、ツッコミどころは多い。
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