【作品情報】
作品名:ラスプーチンの庭
著者:中山七里
ページ数:280
ジャンル:ミステリー
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
医療の闇の深さ度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 社会派ミステリーが好き
中学生の娘・沙耶香を病院に見舞った警視庁捜査一課の犬養隼人は、沙耶香の友人の庄野祐樹という少年を知る。
長い闘病生活を送っていた祐樹だったが、突如自宅療養に切り替え、退院することに。
1カ月後、祐樹は急死。
犬養は告別式に参列するが、そこで奇妙な痣があることに気が付く。
同時期に同じ痣を持った女性の自殺遺体が見つかり、本格的に捜査が始まる。
やがて〈ナチュラリー〉という民間医療団体に行き当たるが――。
主宰の謎の男の正体と、団体設立に隠された真の狙い。
民間療法の闇を描き、予想外の結末が待つシリーズ待望の最新作。
犬養刑事シリーズ。
医療の闇に迫っていくなか、今回は怪しげな民間療法!
研究により進展している現代医療。
それでも、どうしても治療できない患者、治療させるのが難しい病気があることもまた事実。
そういう病気にかかった人たちは、医療にすがりつつも、治療が進まないとまた別のことに縋りたくもなるのでしょう。
たとえそれが怪しげな民間療法だとしても、藁にも縋る思いで頼ってしまう。
もしも、万が一、それで治療することが出来るのなら。
やらないで後悔するよりは、やった方がまだ良いだろうと。
私自身や、身近な人にそういう人がいないので実際になったことはないけれど、想像することはできる。
本人はもちろん、家族のような、自分よりも大事だと思えるような人が病気の身だとしたら、なおさら。
そこに付け込んで、ほぼ新興宗教のような民間療法があることも事実なのでしょう。
だけど、詐欺ではない。
必ず治すと謳っているわけでもなく、かかる人たちもそれは分かったうえで奇跡に縋っているわけで、だから質が悪い。
そういった民間療法にいかに立ち向かうのか?
そして、民間療法を行っている人たちは何を思い、治療という名の施術を行っているのか?
タイトルのラスプーチンはもちろん、ロシアの怪僧のこと。
とはいえ、本作の人をラスプーチンになぞらえるのは少しばかり強引かも?
期待値が高いだけに、もっと深く描けるだろう、と思ってしまう部分も。
医療の闇に迫っていく犬養刑事シリーズではあるが、今回はあっさりしていた感じ。
法には背くけれど、患者には益になるとか、そういう思い悩むところは小さい。
まあ、根拠のないインチキ民間療法ですし。
でも、病は気から、みたいな感じで、そういうので救われる人がいることも確かなんですよね、きっと。。。