【作品情報】
作品名:清明: 隠蔽捜査8
著者:今野敏
ページ数:333
ジャンル:ミステリー
出版社:新潮社
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
シリーズ初期の面白さが戻ってきた度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 妥協せず正しくありたい人
神奈川県警刑事部長に着任した異色の警察官僚・竜崎伸也。
着任早々、県境で死体遺棄事件が発生、馴染みの警視庁の面々と再会するが、どこかやりにくさを感じる。
さらに被害者は中国人と判明、公安と中国という巨大な壁が立ちはだかることに。
一方、妻の冴子が交通事故を起こしたという一報が…。
シリーズ第8弾!
前巻で一区切り、大森署から異動になった竜崎。
今巻から神奈川県警の刑事部長として着任します!
場所が変われば人も違い、やり方も変わってくる。
それでも竜崎は変わらない。
いや、変わったところもある。
大森署を経て、いろいろ経験したことから、さらなる柔軟性を持ち合わせるようになったと感じる。
神奈川県警で、部下も上司も今までと違うメンバーになるわけで、以前と同じようにできるわけではないことを理解。
自分の考えはあるものの、相手のことも考えながら行動する。
当たり前のようで難しいことをバランスよくこなすようになっている姿はさすがのもの。
着任してすぐに殺人事件発生。
事件発生個所から、警視庁との合同捜査になる。
そこで竜崎が感じたのは、警視庁と神奈川県警の間にある軋轢のようなもの。
警視庁は神奈川県警を下に見ているように感じるし、神奈川県警はそれに張り合うよう、なめられないようにという考えが見える。
事件の解決こそが最善と考えるも、神奈川県警の立場にたつことで、竜崎もそんなことを実際に肌で感じるようになる。
だけど、そこで神奈川県警側に一遍よりにならないところがさすがの竜崎。
警視庁がとか、県警がとか言わず、その場で何がベストかを考えて発言し行動する。
もちろん、その中では相手の立場や言動を尊重し、聞き入れるべきところは聞き入れる。
なんか、すごいバランスよくなっていませんか!?
対立しかねない組織間にも、竜崎のような人材がいればいさかいもなくなっていくように思えます。
本作でも、警視庁、県警、そして公安が、最後は一体となって事件解決に向けて動いていく姿が描かれている。
それらは、竜崎が果たした役割が大きい。
本人としたら当たり前のことをやっただけ。
いつも通り、原理原則に従っただけということなのだろうけれど。
神奈川にきても竜崎は竜崎。
それでも、新たな部下や上司も癖がありそう。
その辺は今後、でしょうかね。
どうなるかと思っていたけれど、なんだかんだやっぱり面白い。
続きにも期待したい。
特に改善点はないけれど、やっぱり場所が変わり最初なので、大森署の面々が懐かしくなるところも。