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SF 書評

【ブックレビュー】アリスマ王の愛した魔物(著:小川 一水)

更新日:

【作品情報】
 作品名:アリスマ王の愛した魔物
 著者:小川 一水
  341ページ
 ジャンル:SF
 出版社:早川書房

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 SF要素のバラエティさ : ★★★★★★★★★☆
 こういう人におススメ! : SF読んでみたいけど……な人

 

■作品について

小川一水さんの描く、SF短編小説集。
質の高い短編が5つ収録。

【ろーどそうるず】
 バイクがのAIが魂を持ったお話。だけど、内容自体は重たいというものではない。自分の使命は乗り手である主人を快適に、目的地まで乗せて走ること。そんなバイクの一生(?)と、乗り手の不思議な運命。

【ゴールデンブレッド】
 宇宙における異種間交流を笑いと皮肉に混じって小川一水流に料理した一品、て感じでしょうか。
 
【アリスマ王の愛した魔物】
 架空の世界を舞台にした、戦争と征服の物語。
 弱小国のアリスマ王子は「数える」ことに異様な執着を見せていた。やがてその執着が国を、世界を統べるための力の源となっていくのだが……
 
【星のみなとのオペレーター】
 とある星の宇宙港でオペレーターをする女子のお話。
 ファーストコンタクトもので、スケールの大きな話のはずなのに、主人公の女子視点のためかなんだか微笑ましい話になっているのが良い。

【リグ・ライトー機械が愛する権利について】
 祖父の遺品の自動車にはなぜか女性型アンドロイドが一緒にくっついていた。
 機械とAIと、そういった自動運転の車が事故を起こすことを考えると責任はどう負うべきなのか、とかそういった部分にも少し踏み込んだ、ちょっと変わった視点のSF。

■良かった点

まず、一話目に『ろーどそうるず』を持ってきているのが上手い。
バイクに搭載されたAIと、それらを統制するAIの会話で成り立っている作品で、SFを読んだこと無い人でもさらさらと読みやすく、それでいてそのバイクの送る一生は面白く、ほろりとさせられる。
こんなバイクを持つことが出来たらそれだけで幸せじゃないですか。
日本から海を渡って遥か異国でも走り続け、争乱に巻き込まれて壊れていっても、ライダーのために走り続けるバイク。
バイクも乗り手も幸せになっていくのが読んでいて心地よい。

バイクの話ばかりになってしまいましたが、それくらいの話だった。
もちろん、他の作品も粒ぞろい。
それでもどれかを挙げるとするとやはり表題作だろうか。これが非常に印象に残る。
とにかく「数える」ことに執着する王子。それは人の数であり、家の数、道路の数、木の数、etc・・・それらを元に導き出す戦略、戦術の答えなのだが、描かれている世界観的にコンピューターはないので、なんと人間演算機である。大量の人間を動員して計算して答えを出させる。
なんかこう、ある意味現代社会の歪んだブラック構造ですよ(笑)

SFというと躊躇してしまう方も多いかもしれませんが、SFらしさをあまり感じさせないのが小川さんの作品でもあり、手に取って欲しい一作。
今まで、「SFはちょっと・・・」とか、「SFって難しそうだし」とか、敬遠していた人こそ手に取って欲しい。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

特にないかなぁ。
とりあえず『ろーどそうるず』はずるい。

 

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