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ミステリー 書評

【ブックレビュー】体育館の殺人(著:青崎 有吾)

更新日:

【作品情報】
 作品名:体育館の殺人
 著者:青崎 有吾
 ページ数:329ページ
 ジャンル:ミステリー
 出版社:東京創元社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 オタク度 : ★★★★★★★★★☆
 こういう人におススメ! : ライト感覚で読める本格ミステリ好き

 

■作品について

学園内の体育館で放送部部長が殺されていたが、そこは密室状態だった。
尊敬する先輩が容疑をかけられてしまい、なんとか疑いを晴らそうと、死体発生現場に居合わせた柚乃は学園一の天才といわれる、なぜか学園内に住んでいるという男子生徒に助けを求めに行く。
しかし、その天才といわれる生徒は、アニメ好きでオタクなダメ人間だった??

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■良かった点

なんといっても読みやすく、飽きずに最後まで読み切らせる筆力。
学園青春ミステリー的なものかと思っていたが、殺人事件が発生しての本格モノだった。
ただ、重苦しさはなく、むしろライトな感覚で読み進めることが出来る。
それはひとえに探偵役である裏染のキャラクターが大きい。

テストでは全教科100点を取れてしまうような天才。
だけど学園奥にある部室でこっそり暮らし、アニメ好きのオタクなダメ人間?
オタクであるけれど物怖じせず堂々と行動してむしろ押しが強い。オタク発言も普通に発して怯むこと無い。
そんなキャラクター性の強さにより、物語に色を付けている。

推理に関しては本格的に。
考察し、可能性を潰し、残された部分から正解を導いていく。
現場に残された物証とその時のシチュエーションをもとに、色々と紐解いていく過程はなかなか。
途中で推理が覆されて新たな推理に入ったり、物語後半でも終わったと思ったらどんでん返しと、本格的な要素が色々と含まれている。

シリーズとして続いていくが、その最初としては良い塩梅。
裏染の幼馴染であり、彼と意気投合してやっていける女の子が良い。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

論理が強引。
「○○は■■だから、この可能性は除外できる」とか自信満々に言って他の聞いている人も納得しているけれど、こちらとしては、「え、そうか? いやいや他にもこういう可能性あるじゃん」と突っ込めるところが色々ある。
そして犯人の動機がまた納得いかないというか、それで殺人する? と素直に思う。
まあ、人を殺すと思えないような人が殺す世の中と言われればそれまでですが。

 

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