【作品情報】
作品名:七つの海を照らす星
著者:七河 迦南
ページ数:308
ジャンル:ミステリー
出版社:東京創元社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
物語のつながり度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 一気読み系のミステリーが読みたい
児童養護施設「七海学園」。
ここでは学園七不思議が生徒達の間で話されていて、それは現在進行形で学園に謎を与えていた。
そんな、学園にまつわる謎をめぐる物語。
いわゆる「日常の謎」を取り扱った短編集。
その謎というのは、学園七不思議としてありそうなもの。
トンネルの中から声が聞こえてくるとか、そこにいたはずの女の子が忽然と姿を消したりとか。
一つ一つの謎は物凄く大きいというものではない。
でも、この作品の良いところは、短編それぞれに謎が与えられて解決しつつ、物語全体の伏線が各所に散らばらされている。
それらが最終章になると一つにつながり、新たな景色が見えるというもの。
連作短編としてよくある手法ではあるが、とても綺麗にまとまっていて、最後で「ああ」と思わせてくれる。
過去と未来を行ったり来たりしながら、言い伝わってきた謎を解くのも良い感じ。
読んでいての気分も良いもので、なんというか、希望がある。
舞台が児童養護施設だけに、色々とあるのだが、問題ばかりではないというのが良い。
読んでいてあったまるというか、良かったー、と思って終われる。
日常の謎系だけど、読後の余韻が心地よいのはなかなか珍しいと感じた。
そんな作品。
物凄い衝撃を受けるとか、そういうものではないですよ。
そういうのを求める作品ではないですが。
価格:850円 |