書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

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【マリみてSS(色々・ネタ)】小ネタ集13 ノーマルCPショート4

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<1>

緊張していた。実に緊張していた。自分が訪れるより、圧倒的に緊張している。
目の前にあるのは、見なれた自宅だというのに、まったく別の建物に見えてくる。
しかし、ここでためらっている場合ではない。緊張などしていないふりをして、玄関の扉を開ける。
「ただいま」帰宅の挨拶をしながら玄関へと足を踏み入れると、待っていたとばかりに奥の方からスリッパの足音が。
「いらっしゃい。さあ、どうぞ遠慮なくあがって」
出迎えた母はにこやかな笑顔。父親は少し緊張気味だろうか。何せ、息子が初めて彼女を家に連れてきたのだから。
そして、もう一人。リビングで待っていた祐巳は、入ってきた祐麒たちを見て目を丸くし、さらに口も大きな丸にして声をあげる。
「こんにちは、祐巳さん」
「え、えええええっ!? ゆ、祐麒の彼女って、み、三奈子さまっっ!?」

両親は、祐麒が彼女を連れてくるのを、ずっと待っていたとのこと。祐麒は特に話などしていなかったが、バレバレだったようだ。
「祐麒ったら、しょっちゅう電話とかメールしてにやにやして、よっぽど三奈子さんのことが好きなんだって丸わかりなのよ」
ケーキを食べながら皆でのおしゃべり、母がとても余計なことを言っている。こういうのって滅茶苦茶恥ずかしい。
しかし三奈子は、そんな福沢家の斜め上をいく。
「はい、分かります、だって私も祐麒くんのこと大好きだって、いつも態度で示していますから」
あっけらかんと、そんなこっ恥ずかしいことを口にする。聞いている祐巳の方が、顔を赤くしている。
「そ、そうなの。祐麒、あんた幸せものね、ここまで好きになってくれた女の子がいるなんて」
「う、うるさいな」照れ隠し気味にそんな風に言うと。
「こら祐麒くん、そんなこと言っちゃダメでしょ、お母さんに。いつもみたいに素直になりなよー」
「祐麒って、三奈子さまと一緒のときはそんなに素直なんですか?」と、興味深そうな祐巳。余計なこと聞くな。
「言葉ではそうでもないんだけれどね、身体の方は正直で素直なんだよ、うふふ」
なんだそれは! 三奈子が言いたいのは、表情が分かりやすいとか、態度が分かりやすいとかそういうことなのだろうけれど。
まるで物凄くエロく聞こえるではないか。実際、祐巳も顔を赤くしているし、両親もなんか困った表情をしている。
三奈子の福沢家訪問は、やっぱり三奈子のペースで進んでいくのであった。

 

<2>
うわぁ、やばいやばい、さっきまでは大丈夫だと思っていたけれど、物凄く緊張してきた。
心臓が信じられないくらい、バクバクいっている。初めての大会や、決勝戦だってここまで緊張したことはないのに。
「ゆ、ゆ、祐麒くん、やっぱり、やめようか」
情けなくもそんな声が出てくる。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だって、令ちゃん。本当に心配症なんだから」
と、少し苦笑する祐麒くんだけれど、そんなこといったって仕方ない、緊張するものは緊張するのだから。
今日はここ、祐麒くんの家に初めて訪れて、ご両親に会うことになっているのだ。
「だ、だって、やっぱり私みたいに男の子みたいなのじゃあ、失望させちゃうんじゃ」
今日は一応、スカートをはいてきたし、薄く化粧もしているけれど、そんなことでは不安は消えない。
何せ、リリアンの制服を着ていたって男の子に見られたりするくらいだったのだから。
「大丈夫、令ちゃんが可愛い女の子だっていうことは、俺がよくしっているから」
そんなことを言われて、一気に顔が真っ赤になっていくのが分かる。そりゃ、祐麒くんはよく知っているだろうけれど……
「え、あ、ち、違うよ、変な意味でいったんじゃないから! いやもちろん、あの、その……」
結局、祐麒くんも真っ赤になってしまう。きっと、同じことを思い出している。
一週間前のあの日、私と祐麒くんは初めて体を重ね……
って、そんなこと考えだしたら、さらに体が熱くなってくる。今はそれよりもっと大事なことが。
「ほら、令ちゃん、行こう。うちの両親も、祐巳も、絶対に好きになってくれるから」
言いながら、手を握ってくれる。その暖かい手のぬくもりに、ゆっくりと緊張が薄れていく。
そうだ、無理する必要はない。だって祐麒くんは、着飾った私を好きになってくれたわけじゃないんだから。
「……うん、そうだね」
私は笑い、髪の毛を撫でる。
「ふふ、今度は祐麒くんが私の家に着てね。お父さん、ちょっと怖いけれど大丈夫?」
「う……頑張る」
少し強張る祐麒くんを見て、励ますように今度は私の方から少しだけ強く、手を握り返した。

 

<3>

三対の睨むような強い視線が、祐麒に注がれている。なんとまあ、居心地の悪いことか。
「……で、君はいったい、江利ちゃんのなんなのかね」
一番体格の良い男が、おごそかに口を開く。尋問か公開リンチか、そんな感じである。
ここは鳥居家のリビング、鳥居家の三兄弟が祐麒の前方、右手、左手にそれぞれ位置どり、見つめてきている。
ちなみに江利子は、祐麒と同じソファに、少しだけ距離を置いて座っている。
休日、江利子に誘われて鳥居家に来ていた。父も兄たちも今日は出かけているからと、どこか甘い言葉に誘われて、断わることもできず。
江利子の自室に通され、女の子の部屋に緊張し、江利子も心なしか緊張しているようでいつもと違った雰囲気。
私服の江利子の可愛らしさと、それっぽいムードにのり、思わず江利子の肩をつかんでキスしようとしそうになった。
江利子も目を閉じ、祐麒に身を任せようとしたように見えたその時、玄関の方から大きな声が飛んできた。
どういうわけか帰宅した二男が、玄関にある祐麒の靴を見て異変を察して声を出した。そして、今の状況に至る。
「な、なんなのか、といわれますと……」ちょっと、困る。
祐麒と江利子は、正式な恋人かといわれると、少し違う。ひょんなことから付き合うことになったものの、なりゆきといった感じで。
だけどこうして自宅にまで来て、はてはキスなんかしかけちゃったわけで、どうしたものかと考える。
加えて、三人の兄は誰もがシスコンで江利子を溺愛していると聞いていただけに、『恋人です』なんて言ったら……
「江利ちゃん、俺は認めないぞ、こんな軟弱そうなやつ。それに江利ちゃんにはまだ、男女交際とか早すぎる」
「は、何言っているの? 私もう大学生よ、それくらい誰でもしているわよ」
「大学生でもまだ学生だ。それに江利ちゃんはリリアンで純粋に育ったから、どんな悪い男にひっかかるか」
「そうだ、江利ちゃんに相応しい男は俺達が見極めてあげるから、江利ちゃんは心配しなくていいんだ」
口々に言う三人の兄たち。祐麒を非難するようなものもあれば、江利子を非難するようなものもある。
おそらく、溺愛する江利子が男を部屋に連れ込んだことで動揺しているのだろうが、聞いていてあんまりだと思い、知らず沸騰していた。
「いい加減にして下さい! 俺は江利ちゃんの彼氏です! ご兄弟とはいえ江利ちゃんの恋愛にそこまで口出す権利がありますか!?」
「言ったな君。ならば君は真剣に江利ちゃんとの将来を考えたうえで付き合っているというのだな。江利ちゃんを幸せにすると」
「もっ、もちろんです!」売り言葉に買い言葉、勢いもあり今さら翻すわけにもいかず、立ち上がり断言する。
「……いいだろう。そこまで本気だというなら、俺たちと勝負したまえ。君が勝ったら、江利ちゃんとの結婚を祝福しよう」
「え、け、結婚って、いくらなんでもそれは早すぎ……」
「なんだ、将来を考えているとは、江利ちゃんを幸せにするとは、そこまで考えてのことではないのか? まさか遊びだというなら……」
「そっ、そんなわけないじゃないですか。じゃあ俺が勝ったら、江利ちゃんとのことに文句つけないでくださいね」
言いながら、なんかとんでもないことになったぞと、泣きたくなってくる。しかし、隣で座っている江利子を見てみれば。
胸の前で手を組み、キラキラと嬉しそうな瞳で祐麒を見上げている。可愛らしくて、ドキッとする。
こうしてなし崩し的に、鳥居三兄弟と江利子を賭けたバトルの幕はきっておとされたのである……

 

<4>

「内藤さん、今週末に合コンあるんですけれど、良かったらいきませんか? 今回、結構期待できますよ」
定時をすぎてしばらくして、克美に声をかける新人の女の子。ちなみに克美は入社二年目。
「ごめんなさい、私は遠慮しておくわ。私はいいから、栄村さんたちは楽しんできてちょうだい」
克美が断ると、後輩の女子は特に強く誘うこともなく素直に引き下がる。とりあえず誘ってみたというところだろう。

栄村は同期の友達の子の席に行き、話しかける。
「……内藤さんって、本当、真面目でおかたいよねー。合コンとか誘っても全然いかないし」
「眼鏡にあの髪形も野暮ったいしね。服のセンスはいいけれど、あれじゃ彼氏とかもいなんじゃないかな?」
「男なんて興味ありません、私の恋人は仕事です、っていう感じだよね。ある意味格好いいけれど、楽しみも欲しいよね」
克美は決して嫌われているというわけではない。仕事はできるし、教えるのも上手だし、良い先輩だ。多少きびしいところもあるが。
しかし、仕事以外の付き合いはあまりよくない。歓迎会や送別会といったものには参加するが、プライベートな飲みには出たことがない。
見るからに堅物といった感じで、たった一つ上の先輩なのに、栄村は克美のことをよく知らない。だから色々と誘ってみるのだが。

合コンに参加したものの、ちょっといいなと思った男の子は他の女子に興味があるようで、栄村とはあまり話さなかった。
収穫なく、帰り道を一人歩くと、なんかさみしい。これで前の彼氏と別れてから二年、そろそろ新しい恋が欲しいのだが。
なんて考えながら歩いていると。
「ちょっと祐麒、早くしなさいよ、終電に遅れちゃうじゃない。明日も会社あるのよ、もう、グズなんだから」
「えー、あと一回、って離してくれなかったのは克美さんじゃ……」
「う、うるさいわねっ。祐麒だって、なんだかんだ言って」
一組の男女が何やら言い合っている。しかし、眼鏡もないし、まとめていた髪もほどいて雰囲気が全然違うけれど。
「……内藤さん?」慌てていたのかブラウスの胸元も少しはだけ、なんとも色っぽい。肌艶がよいのもあるか。
「えっ……さ、栄村さんっ!?」ぎょっとしたように目を開き、真っ赤になって栄村の方を見ている。
克美が出てきた方を見れば、間違いなくラブホテル。うわー、と思って克美をじろじろ見つめてしまう。
「さささ、栄村さん。あの、その、このことは他の人には内緒に……」
真っ赤になって、わたわたとしている克美が普段の姿とあまりに違ってギャップがあって、そのせいか余計に可愛らしく見えた。
「そうですねー、その素敵な彼氏さんとのことを色々と教えてくれたら、内緒にしてあげますけれど?」
「~~~~~~っ!!!」
ちょっと意地悪く言ってみると、瞳を潤ませて首筋まで赤くしている。これは可愛いぞと、内心で萌える栄村であった。

 

<5>

年上の女性、という響きには特別なものがあるように感じられる。
特にその女性が、黒髪で、眼鏡で、クールで、知的で、スレンダーとなると、こりゃもうどうしたらよいものか。
と、特異な妄想に耽りたくもなるものである。そんな年上の女性が、すぐ隣にいるとなると。
「どうしたんですか、祐麒さん?」
綺麗な黒髪を揺らし、眼鏡の奥の瞳でまっすぐに祐麒を見つめてくる景に、心臓の動きが速くなるのを止められない。
「いえ、あの、本当についてきて良かったんですか、俺」
「当り前じゃないですか、せっかく荷物持ちをしてくれるんでしょう? ふふ」
と、大人っぽく笑う景。一人暮らしのぼろいアパートのお隣さんとして引っ越してきた景とは少しずつ親しくなってきた。
悪い雰囲気じゃないし、景も決して祐麒に対して嫌な気持ちなどは持っていないようだった。
今日は偶然、景が出かけるところに出くわし、こうしてついてきてしまったわけだが、景も笑ってくれている。
ひょっとして、本当にこの先、目があるのではないかと、期待に胸も膨らもうというものである。
「これなんか、どうかしら」
「え、どれですか……」と、目の前に出されたのは、小さな布切れ。
そう、それは紛れもなく女性の下着。インナー。ファウンデーション。パンツ。
「えええ、あ、こ、ここはっ?」キョロキョロ周囲を見回すと、実にカラフルでお洒落な下着に囲まれていた。
「いやだ、ランジェリーショップですよ。祐麒さんも、ついてくるって言ったじゃないですか」
と景は言うが、景との買い物に浮かれて上の空だった祐麒は、よく覚えていなかった。
「くすっ、どうしたの祐麒さん、真っ赤ですよ?」
笑いながら、祐麒のことを見つめている景。どこか悪戯っ子のような表情が可愛くて、また赤くなってしまう。
様々な下着を手に取りながら、祐麒に意見を求めてくる景。そのたびに、その下着を身につけた景の姿を妄想してしまう。
「どうしたんですか、祐麒さん。ひょっとして、エッチなことでも考えているんでしょう?」
意地悪な笑みを浮かべて訊いてくる景。
からかわれているのか、それとも何か違う意図があるのか。
いずれにしろ祐麒は、こうしてまた一歩、景に惹かれてゆくのであった。

 

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