【作品情報】
作品名:午後のチャイムが鳴るまでは
著者:阿津川 辰海
ページ数:384
ジャンル:ミステリ―
出版社:実業之日本社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
馬鹿な高校生の楽しさ度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 学園青春ミステリーが好き
九十九ヶ丘高校のある日の昼休み、2年の男子ふたりが体育館裏のフェンスに空いた穴から密かに学校を脱け出した。
タイムリミットは65分、奴らのミッションは達成なるか(第1話「RUN! ラーメン RUN!」)。
文化祭で販売する部誌の校了に追いつめられた文芸部員たち。
肝心の表紙イラストレーターが行方不明になり、昼休みの校内を大捜索するが――(第2話「いつになったら入稿完了?」)。
他人から見れば馬鹿らしいことに青春を捧げる高校生たちの群像劇と、超絶技巧のトリックが見事に融合。
“学校の昼休み”という小宇宙を圧倒的な熱量で描いた、愛すべき傑作学園ミステリ!
九十九ヶ丘高校のある日の昼休みの65分に発生したことを描く短篇連作。
どの短編も同じ日の昼休みのことだけど、そこにあるのは高校生らしい熱量。
ある意味で馬鹿々々しいと思えることにも、溢れんばかりの熱量を注いで行動するのが高校生であり若者の特権なのかもしれない。
昼休みに学校を抜け出してラーメン屋に食べに行こうとする男子学生。
阿保みたいな賭けポーカーに熱狂する野郎ども。
占いの館で発生したことから毒入りチョコレート事件のごとく推理を連鎖させていく女子高校生。
様々な学生の姿を描いていく。
そしてそれぞれに、ちょっとした謎を与えて解決していく。
まさに青春と学園とミステリーが融合した作品。
同じ学園でのことなので、それぞれの短編がそれぞれに連なりを持ち、そして最後の一編でまた新たな事実が明確になる。
これもまた短編連作のだいご味でもありましょう。
まあ、ミステリーはミステリーできちんと楽しみつつ。
ああ、こんなアホみたいな学生時代があったな、とか。
こんな学生時代を送りたかったな、とか。
そういう情景を思い浮かべつつ楽しむ作品。
滅茶苦茶凄い謎解きとか、最後の着地があるって感じでもないかな。
楽しく読める良作ではあると思うけれど。