【作品情報】
作品名:ウズタマ
著者:額賀 澪
ページ数:293
ジャンル:エンタメ
出版社:小学館
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
ほっこり度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 家族の絆とか、温かくなれる物語が好き
主人公、周作は幼い頃に母親を亡くし、父と二人で暮らしてきた。
その周作が結婚を間近に控えた時、父が脳梗塞で倒れて意識不明の重体に。
そこから、周作は過去へと向かい合う。
母はなぜ、死んだのか。その時、家族には何があったのか。そして父と母以外にいたもう一人の人物は。
かつていた家族、そして未来に家族となる人たちとの絆を描いた一作。
結婚を控えた周作に、父親から貯金通帳を渡された。
誰が貯金してくれていたのか分からないまま、父親は脳こうそくで倒れてしまう。
その通帳の主を探すところから、周作の旅は始まる。
過去、何があったのか。
母親はなぜ亡くなったのか。
そうやって過去を巡る物語でありつつ、周作の未来の物語でもある。
結婚を控え、しかも結婚相手は再婚で連れ子もいる。
果たして自分は本当にその人たちの家族になれるのだろうかと思い悩み、恐怖を抱く周作は、どうしても過去と正面から向かい合わなければならなかったのだ。
過去を追いかけるうちに、切ない事実を知っていく周作。
家族とはなんなのか。
血の繋がりだけが家族なのか。
それとも、もっと他の繋がりもあるのか。
そういったことを考えさせられる物語である。
過去と現在が交錯し、やがて周作は未来に向かって歩き始める。
その周囲には、欠けてはならない人がいる。
血の繋がりだけではない、「家族」と思える大事な人たちがいる。
誰かを犠牲にしての幸せなんてないのだと、周作は全てを知ったうえで、自分の幸せを掴もうと選択する。
それは、とても素晴らしい事だ。
登場人物達が幸せなラストで良かった。
心温かくなれる作品。
過去の秘密というのは、はっきりいって冒頭を読めばわかってしまう。
それでも、切なくなる。
謎解きではなく、あくまで家族の物語である。
価格:1,361円 |