【作品情報】
作品名:盤上に君はもういない
著者:綾崎 隼
ページ数:384
ジャンル:エンタメ
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
将棋もののツボおさえ度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 女性棋士を描いたヒューマンドラマに興味あり
将棋のプロ棋士を目指す者たちにとっての最後の難関、奨励会三段リーグ。
観戦記者の佐竹亜弓は、そこですべてを賭けて戦う二人の女性と出会う。
永世飛王を祖父に持つ天才少女・諏訪飛鳥と、病弱ながら年齢制限間際で挑戦する千桜夕妃。
歴史に残る激戦の末、リーグを勝ち抜き史上初の女性棋士となったのはどちらか??
そして二人に導かれる、哀しき運命とは?
将棋を題材にした作品って定期的に出ますよね。
それって、あの9×9の81マスに、棋士たちの人生であったり、思いであったり、執念であったりが凝縮されているから。
あの盤上で、そして盤を通して、棋士と棋士の魂の交流があるから、なんでしょうね。
何より日本人だから、チェスや囲碁よりも感情移入もしやすいです。
本作はその将棋を題材に、女性の棋士二人を中心に描いています。
長い将棋界の中でも、女性で棋士になった人はまだいません。
魔境ともいわれる奨励会の三段リーグを突破することが出来ずに、退会していきます。
女性の方が男性より優れていない、ということではないはず。
それでも女性が棋士になれないのは、体力的な面、脳みその作り(男女の思考の差?)とか、なのでしょうか。
こればかりはわかりませんが、ライトノベルの
「りゅうおうのおしごと!」
でも、その辺のことは描かれてもいましたね。
銀子が、八一や他の男性棋士の考え方、頭の中に驚き衝撃を受けるところとか。
本作では諏訪飛鳥と千桜夕妃という二人の女性が棋士に挑む。
16歳で初の女性棋士誕生かと騒がれる飛鳥。
26歳で奨励会の年齢制限間近の夕妃。
盤上でぶつかる女性同士の意地。
そして、そこから始まる物語。
将棋ものとして、おそらく将棋に詳しくない人なら楽しめる。
本当に将棋好きな人は、将棋ものとして読んでは多分駄目。
私は将棋にはそこまで詳しくないので大丈夫(笑)
まあ、おいおい!、と突っ込みたくなるところが多々あるけれど、ライトな将棋ものでありエンタメ作品だから。
そこを気にしすぎては駄目。
ぶっちゃけ、将棋界の過酷さ、3段リーグの過酷さなら、前出の「りゅうおうのおしごと!」の方がよほど読んでいて身に染みると思う。
本作は将棋を題材にしたヒューマンドラマですね。
うーん、面白かったといえば面白かったけれど、首を傾げるといえば傾げざるをえない。
飛鳥が主役かと思いきや、最後は登場すらしなくなるし。
将棋の話かと思いきや、そうじゃない部分が最後に出てきて。
記者の亜弓も、なんだか色々言っているけれど結局は自分本位で相手のことあまり考えてないよね・・・?
あと、20まで生きられないと言われた娘なのに、なんで跡継ぎにしようとこだわるのか親の考えもようわからんかった。。。
なんかこう、色々と勿体ない感。