【作品情報】
作品名:超動く家にて
著者:宮内 悠介
ページ数:330ページ
ジャンル:SF
出版社: 東京創元社
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
バカ度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : 真剣に馬鹿なことを書いた作品が好き
真面目に(?)ばかばかしいことを描いた、宮内 悠介のバカSF、バカミステリの短編集。
雑誌『トランジスタ技術』を「圧縮」する謎競技をめぐる「トランジスタ技術の圧縮」とか、もうそれを聞いただけでばかばかしくなるようなものばかり、全16編。
さあ、手に取って真面目な馬鹿とはどのようなものか味わってみよう。
本当に真面目に馬鹿をやっている(褒め言葉)
収録されているのは以下の通り。
トランジスタ技術の圧縮
文学部のこと
アニマとエーファ
今日泥棒
エターナル・レガシー
超動く家にて
夜間飛行
弥生の鯨
法則
ゲーマーズ・ゴースト
犬か猫か?
スモーク・オン・ザ・ウォーター
エラリー・クイーン数
かぎ括弧のようなもの
クローム再襲撃
星間野球
あとがき
・「トランジスタ技術の圧縮」
分厚い雑誌、『トランジスタ技術』をいかに素早く圧縮するか、ということを競う競技。
もうその時点でばかばかしいのだが、アイロン派であったり毟り派であったり、それらの達人に弟子入りしたり、競技においては色々な技や策を駆使したり、バカバカしくも真面目に描いているのが笑える。
しかし、こんな競技で本当に盛り上がるのか?
・「超動く家にて」
表題作だけあって面白かった。
著者もあとがきで言っているが、1ページごとに突っ込みどころがあるような展開。
いや違う、1ページに1つ叙述トリックだった。
閉ざされた超動く家で起きた殺人、一体誰が誰を殺したのか? 意外な展開とオチに納得?
・「ゲーマーズ・ゴースト」
駆け落ちした男女二人なのに、なぜか旅の道連れのような感じで謎の外国人と変なチェロ奏者とともに、追いかけてくる車から逃げていく。
なんとなく伊坂幸太郎を思わせるような思わせないような。
雰囲気が好きな作品。
・「かぎ括弧のようなもの」
かぎ括弧のようなものなんでしょうね。
山括弧ではない。
・「星間野球」
宇宙ステーションで働く二人、そのうち一人が交代要員とかわって地球に帰れることに。
どちらも早く地球に帰りたい、ではどちらが先に帰るか、「野球盤」で雌雄を決することにした!
宇宙ステーションの中、重力の部屋で体に負荷をかけ汗を流しながら真剣に対決する男達。
変化球と直球のコンビネーション、球のすり替え、宇宙ステーションを使った仕掛け・・・
真剣に遊ぶ様が笑える(本人たちは本気だが)
そんな彼らの対決の結果は意外なことに??
どれもこれも、あくまで真面目なタッチで書いているからこそ面白くもある。
馬鹿笑いというよりは、読んでいてくすくすと笑ってしまうようなもので、肩の力を抜くには丁度良い。
これだけの作品が収録されていれば、あわないものもあるかも?
というか、よく分からない、という風に感じるものもあるかも。
まー、ネタがネタだけに一癖も二癖もありますからね。
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価格:1,599円 |