【作品情報】
作品名:冤罪犯
著者:翔田 寛
ページ数:304
ジャンル:ミステリー
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
警察の闇が見えそう度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 個性的な刑事が事件を追う警察モノが好き
千葉県で発生した幼女誘拐殺人事件。
その状況は、七年前に発生した幼女誘拐殺人事件である「田宮事件」と酷似していた。
さらに事件を追いかけて調べていくうちに、「田宮事件」とのつながりのようなものも見えてきて?
果たして真犯人は誰か。
そして7年前の「田宮事件」との関係性や、その結末は?
現在、発生した幼女誘拐殺人事件。
そして7年前に発生した幼女誘拐殺人事件。
二つの事件に繋がりはあるのか。
特に7年前の「田宮事件」は、犯人である田宮が獄中で自殺をしたことで後味悪く終わっている。
もしもその事件とつながりがあるのだとしたら、「田宮事件」は実は冤罪ではなかったのか? という疑惑が出てくる。
だからこそ、二つの事件を追いかけて真相を見極めていく、というところ本作の目玉ともいえる部分。
単純に冤罪をテーマにしているのではなく、もしかしたら冤罪だったのではないか?
当時の捜査に問題があったのではないか。
警察組織として何か隠しているのではないか。
そうして警察の問題点にも焦点をあてている。
本作に限らず、警察が捜査を進めていく中で事件を解決するために無茶なことをしたり、強引な手立てに出ること。
そしてそれらをひた隠す隠蔽体質について色々な作品で描かれている。
そういったところはミステリーというより、警察モノ、という色が濃く出ているなと思う。 作品を、きっとそうなのではないかと思いながら読み進めると、ちょっとだけ想定と違う方向に向かっていく。
ははぁ、なるほどね、と。
捜査は、香山とその部下である三宅・増岡の三人の視点で進んでいく。
視点が頻繁に変わる所は良し悪しそれぞれあるけれど、読み辛いというほどでもないし、別の視点から事件を追うことが出来るので、それはそれで問題なかった。
性格の違う個性的な刑事3人の考えや捜査の仕方が見られて、楽しめる。
犯人を追い詰めていくというよりは、過去の事件とからめて警察について考えさせられる方が強かった。
大きな得点はないが、読みやすく失点の少ない良作、という感じ。
いやいや、そんなことする刑事いるのか!?
と、思ってしまったが、でもいるのかもしれないなぁとも思った。
警察小説を読んでいると、そう感じてしまいます。
あと、タイトルほど「冤罪」はテーマとして強くないかなと感じた。