【作品情報】
作品名:紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている: 再生・日本製紙石巻工場
著者:佐々涼子
ページ数:328
ジャンル:ノンフィクション
出版社:早川書房
おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
紙の良さを改めて感じる度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : 秀逸なノンフィクションを読みたい人
2011年3月11日、宮城県石巻市の日本製紙石巻工場は津波に呑みこまれ、完全に機能停止した。
製紙工場には「何があっても絶対に紙を供給し続ける」という出版社との約束がある。
しかし状況は、従業員の誰もが「工場は死んだ」と口にするほど絶望的だった。
にもかかわらず、工場長は半年での復興を宣言。 その日から、従業員たちの闘いが始まった。
食料を入手するのも容易ではなく、電気もガスも水道も復旧していない状態での作業は、困難を極めた。
東京の本社営業部と石巻工場の間の意見の対立さえ生まれた。
だが、従業員はみな、工場のため、石巻のため、そして、出版社と本を待つ読者のために力を尽くした。
震災の絶望から、工場の復興までを徹底取材した傑作ノンフィクション。
2011年3月に発生した震災。
この震災の多大なる影響を受けた東北地方の中に、日本製紙の石巻工場があった。
津波に巻き込まれて大きなダメージを受け、完全に機能停止。
誰もが、復旧するとしても数年はかかる。
そもそも電子書籍化が加速していく世相の中で、もしかしたら会社も工場を見捨てて電子化に舵を切るのではないか。
そんな不安さえもあった中。
工場長は半年での復興を宣言し、経営陣も何があっても工場を復活させると断言。
絶望的な状況から復興までをリアルに描いたノンフィクション。
徹底取材からおこしたノンフィクションだけに、様々な情景がリアルに浮かんでくる。
小説のように派手に、大胆に描くわけではなく、あくまで淡々と。
だからこそ逆に、震災の悲惨さが伝わってくるような。
そして伝わってくるのは様々。
地震の、津波の恐怖と被害。
現地では何があったのか、どのようなことが起こり、どのような状況だったのか。
助けられた人もいれば、目の前にいながら助けられなかった人もいる。
助けてくれる人もいれば、火事場泥棒のようなことをする人もいる。
それでも工場の人たちは、工場の復興こそが皆の希望になると、何より自分自身の希望であるから頑張れる。
紙の本は確かに減っている。
だけど、紙だからこそというものが確実にある。
本書内にも書かれていたけれど、人は指先でページをめくることで指先でも読書をしている、というのはまさに。
同じような本でも出版社によってこだわりがあり、色や手触りなども違う。
職人たちは見て触れれば、その品質によってどの紙か見分けられる。
紙にかける思い、復興にかける思い。
そういったものがこれでもかと感じられる一冊だった。
ないですね。
夢中になってあっという間に読めます。
