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SF 書評

【ブックレビュー】パラレルワールド(著:小林 泰三)

更新日:

【作品情報】
 作品名:パラレルワールド
 著者:小林 泰三
 ページ数:276ページ
 ジャンル:SF
 出版社:川春樹事務所

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 一般受けしそう度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : 意外なサスペンスが好み

 

■作品について

災害を契機にして、父親と母親が生きる世界が分岐してしまった。
その二つの世界を感知できるのは息子のヒロ君だけ。
両親をつなぐ息子と、それによって築かれる新たな家族の絆。
しかし、そんな家族の前に、ヒロ君と同じように二つの世界を感知でき、それを利用して悪事を働く男が現れて・・・・

■良かった点

パラレルワールドというタイトル、そして表紙。
さらに読み進めていく第一部から、災害で父親が死亡した世界、母親が死亡した世界、二つの異なる世界をヒロ君を通して描いていく家族モノ。そう思えるのは当然の事。
しかしそこは作者が小林泰三、そんなストレートにいくわけがない。
第二部に入った途端、まざまざとそれを思い知らされる。

第二部で出てくるのは、ヒロ君と同じように災害の被害を受けたことがきっかけで二つの世界を感知できるようになった男。
その男はまあ、その力を使用して悪いことを平気で働く。
どんな悪いことが出来るのか?
そこは小林さんの設定がまた活きるのだが、二つの世界で発生する「数分の時間差」を利用するのである。
そんなうまくいくのか? と思わなくもないが、男はそれをやってのける。それくらい悪に対する躊躇がないし、努力せずに金を稼ぐことには有能で知恵が働く。
こういう登場人物は小林さんの作品ではよくいますね。
イメージ的には「記憶破断者」かな。

そんな男に目を付けられてしまった家族三人との対決。
二つの異なる世界の差、二つの世界を生きることの出来るヒロ君、そして二つの世界の時間のずれ。
設定を目いっぱい使って繰り広げられる対決はスリリング。
そして、なぜ時間のずれが生じているのか。その時間のずれとはなんなのか。
この辺は理系脳というかSFというか、読んでいくラストで「おお」と思わされる。
適当ではなく理詰めであり、バトルも白熱の心理戦。

そして切ないエピローグ。
異なる二つの世界だけに交わることはない。
家族が、ヒロ君が下した決断とは。

楽しませてくれる一冊だった。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

改善というか、ラストで小林さんらしいグロさも炸裂する。
なぜ、あえてそこまで書く必要があるのかと思うが、おそらくそこまで全くグロ要素がないから凝縮したのだろう。
グロが苦手な人はそこは読み飛ばしてもよいかもしれない。
読者からすれば、「キターーーー!」てところだろうが。

 

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