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ミステリー 書評

【ブックレビュー】文学少女対数学少女(著:陸秋槎)

更新日:

【作品情報】
 作品名:文学少女対数学少女
 著者:陸 秋槎
 ページ数:352
 ジャンル:ミステリー
 出版社:早川書房

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 数学的難解度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : 青春本格ミステリ好き

■作品について

高校2年生の〝文学少女〟陸秋槎は自作の推理小説をきっかけに、孤高の天才〝数学少女〟韓采蘆と出逢う。
彼女は作者の陸さえ予想だにしない真相を導き出して……
〝犯人当て〟をめぐる論理の探求「連続体仮説」
数学史上最大の難問を小説化してしまう「フェルマー最後の事件」
ほか、ふたりが出逢う様々な謎とともに新たな作中作が提示されていく全4篇の連作集。

■良かった点

タイトルだけ見ると、数学の天才少女と文学の天才少女が、それぞれの分野の知識でガチ対決するようにも感じられるが、全然そんなのではなかった。
〝文学少女〟陸秋槎(りく しゅうさ)は、推理小説好きのごく普通の少女。
天才でもなんでもなく、押しに弱く流されてしまうようなところもある。
そんな秋槎は学校の新聞に掲載する犯人あての推理小説を書いているが、そのロジックの検証のために天才〝数学少女〟韓采蘆(かん さいろ)のところに向かう。
こちらの采蘆の方は数学の天才少女であり、天才であるがゆえに思考、言動が他の人と異なり、周囲から浮いている。
文学少女であり数学が苦手な秋槎であるが、重要なのは数学が得意かどうかではなく。
変人ともいえる采蘆とコミュニケーションをとるだけの辛抱強さというか、むしろ流されてしまいがちなところでで采蘆に気に入られてしまうというか。
分かってみれば、采蘆は本当に変人ではあるけれど、むしろ数学ばかり一辺倒の世間知らずなのかもしれない。
秋槎がいないと自分で着る服も買えない、というのがそんなところだ。

二人が織り成すのは、数学的思考による推理と、推理小説的な推理。
采蘆は当然ながら数学の考えなのだが、その使い方が面白い。
数学は苦手で分からないという人も、そこまで構えなくても大丈夫。
完全に理解できないとしても、作品を楽しむことはできる。

また本作では徹底して作中作に拘っている。
作中の作品はミステリ小説であり、ミステリの考え方に従っていいくような感じだが、それに対して采蘆は数学的アプローチをしていくわけである。
また逆に、采蘆が作り出す「フェルマー最後の事件」は、フェルマーの最終定理をもとにした推理小説?
そういうアプローチもあるのかー、とか思ったり。

二人の少女の関係は、近くなったのかと思いきや意外とドライだったり。
百合を感じさせつつもそうではない、だけど百合でもある。
みたいな、読み手に考えさせるもの。
秋槎と采蘆だけでなく、秋槎のルームメイトの?琳(しゅりん)の関係もそう。
深く読もうと思えば読めちゃうところも一つの魅力か、はたまた百合厨の悪い性か。

翻訳ものだけど、とっつきにくくもないですよ。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

なんだろう。
結論はあなた次第、みたいなところがあったりもするので、その辺は好みが分かれるかも?

 

 

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