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エンタメ 書評

【ブックレビュー】あの日、松の廊下で(著:白蔵盈太)

更新日:

【作品情報】
 作品名:あの日、松の廊下で
 著者:白蔵盈太
 ページ数:312
 ジャンル:エンタメ
 出版社:文芸社

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 真実は分からない度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 忠臣蔵の裏を知りたい人

■作品について

旗本・梶川与惣兵衛は、「あの日」もいつもどおり仕事をしていた。
赤穂浪士が討ち入りを果たした、世にいう「忠臣蔵」の発端となった松の廊下刃傷事件が起きた日である。
目撃者、そして浅野内匠頭と吉良上野介の間に割って入った人物として、彼はどんな想いを抱えていたのか。
江戸城という大組織に勤める一人の侍の悲哀を、軽妙な筆致で描いた物語。

■良かった点

いわゆる「忠臣蔵」に至ることになった起因となる事件「松の廊下」の刃傷沙汰。
その事件はなぜ起こったのか?
事件が起きるその約3カ月前から当日に至るまでを描いた作品。

浅野内匠頭と吉良上野介。
二人の間でどのようなやりとりがあったのか。
お互いに、どのように考えていたのか、どのような思いを持っていたのか。
真実は誰にも分からず、ただ浅野内匠頭が切りつけ、赤穂の浪士たちが敵討ちをしたとしか分からない史実の裏を想像して描く。

主人公は江戸城に勤める旗本・梶川与惣兵衛。
惣兵衛は無事にお役目をこなし、かのイベントを成功させるため、吉良、浅野、双方の間に入ってなんとか取り持とうとするが。
その苦労と悲哀たるや、現代社会で働く中間管理職や、それ以外の人にも刺さるのではないだろうか。

あの人はこう言っている。
この人はこう考えている。
お互いの考えや意見が間違っているわけではなく、双方にそれなりの理由や感情があるわけだけど、それが相手には分からない。
相手の立場にいないから。
中間に入っている惣兵衛には、双方の気持ちが分かるからこそ、どうにか取り持ちたい。
でも、書面なんかでは伝わらない。
更に、周囲の無能な者たちのせいもあって物事は悪化していくばかり。

誰もが皆、一生懸命なんだけど、破滅の方向に向かっていく。
いやぁ、嫌ですね。
運命の日までのカウントダウン、辛い結末が待っているのは分かっているのに、軽妙なタッチなのでそれを感じさせない。
こういう歴史モノも良いですね。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

特にないかな。
中間管理職の悲哀を感じたくない人は気を付けて。

 

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