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ファンタジー 書評

【ブックレビュー】紙の魔術師(チャーリー・N・ホームバーグ)

更新日:

【作品情報】
 作品名:紙の魔術師
 著者:チャーリー・N・ホームバーグ
 ページ数:334
 ジャンル:ファンタジー
 出版社:早川書房

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 王道ファンタジー度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : 紙を使った魔法って? と興味持てる人

 

■作品について

魔術師養成学院を卒業したシオニーが師事することになったのは、全く希望していなかった「紙の魔術師」
それでも他に選択肢はなく、行ってみたら出迎えてくれた師は変わり者。
果たしてうまくやっていけるのだろうかと心配になるシオニーだったが、思わぬ展開が待ち受けていた!?

■良かった点

表紙とタイトル、そこから醸し出される雰囲気から、柔らかなファンタジーを想定していた。
ところがどっこい、読んでみるとなかなかにスリリングな展開。
物語が始まって意外と序盤に、とんでもない目に遭うことになるシオニー。

師でありセインの命が狙われている中、シオニーが懸命に抗う。
そこは血と肉にまみれた場所で、シオニーは文字通りボロボロになって進んでいく。
映像化したらかなりグロイものになるでしょう。
そんな中で描かれているのも、単なる戦いだけではなく、人間関係であり、人間誰もが持っているような醜さであったり、そういった内面的な部分も抉られるように描かれる。

紙の魔術師というくらいなので、いわゆる「折り紙」である。
紙で折ったものに生命を与えて使い魔のような感じに使役できるのは、折り紙国である日本なら想像しやすい。
まあ、簡単に魔術を吹き込むことが出来るのはどうなんだろうとも思うけれど。
日本人なら、複雑な折り紙細工が作れるから、それこそ凄いものが出来上がりそう。
セインが作った紙の犬、フェンネルが可愛い。

三部作の一作目ということで、まだ導入的な感じなのだろうか、劇的な展開というものはない。
とはいっても全般的に良質なファンタジーとなっており、文体も読みやすくすらすらとラストまでいける。
続きは果たして二人の関係に迫っていくのか、もっと異なる展開に持ち込んでいくのか。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

シオニーとセインのロマンスな感じを出しているけれど、それは必要なのか。
いや、ファンタジーといえば恋愛要素が結構あるのも分かるけれど、二人が惹かれあう要素がいまいち見当たらなかったのは、個人的な思いだろうか。

 

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